こちらにはひと月に一度,AA研スタッフや共同研究員がフィールド調査の際に撮った写真を載せています。
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「カチン」と総称される民族文化集団の人々のほとんどがキリスト教徒であるということは常識と言ってよい。それなのに,彼らがクリスマスをどう祝うのかを目撃したことはこれまで一度もなかった。クリスマスにミッチーナーにいるのは今回が初めて。これ幸いと,知人に頼んで近くの教会に連れて行ってもらった。
ホールの飾りつけこそクリスマス仕様だが,みんなで集まって,讃美歌の斉唱に牧師さんのお話,いたって普通である。セレモニーが終わった後で食事を出すのも,クリスマスに限ったことではなさそうだ。彼らにとってはクリスマスも日々の宗教的営みの一コマ。逆に言えば,クリスマスに何か「特別な」ものを思い浮かべること自体,こちらの宗教心の薄さを露呈しているのかもしれない。
讃美歌を歌う周囲の様子を観察したり撮影したりしていると,所在なさげにしていると思われたのか,隣に座っていた女性が,カチンの共通語であるジンポー語の讃美歌集を貸してくれた。見るからに外国人であるとわかる人物でも,やはり放ってはおけなかったものか。苦笑しながら受け取った。
2009年12月25日
ミャンマー連邦カチン州ミッチーナー市タッコン地区バプティスト教会にて
澤田英夫 撮影
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