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教育セミナー >> 2006年度感想・報告 >> 相川 洋介
2006(平成18)年度
相川 洋介(上智大学大学院グローバル・スタディーズ研究科)

 9月19-22日の4日間、今年で2回目となるAA研主催の中東・イスラーム教育セミナーに参加させて頂いたが、中東を対象として研究している私にとってこの経験は有益なものであったと思う。それについて3点ほどこの場を借りて報告させていただきたい。
 
  第1点としては、「中東・イスラーム」という名前から理解できるように、本セミナーは中東およびイスラームに焦点を当てたものである。一般的にイスラームといえば中東、という固定観念が出来上がっている中では中東以外の地域を忘れがちな傾向にある。しかし、本セミナーでは中東に限らず、参加者の多くが「イスラーム世界」の研究を志している大学院生であり、研究手法も対象へのアプローチ方法としても多様であった。そのため、普段イスラームと多少距離をおいて研究をしていた私にとって、改めてイスラームを扱うことの難しさを実感させられた。というのも、私は中東の経済、主に貧困の削減をテーマとして扱っており、この分野でイスラームを扱う際に、どの程度まで対象となる貧困とイスラームとの関係性を考慮に入れるべきなのか、ということを思い悩んでいたからである。その点で、2日目に行われた飯塚正人先生の「イスラームとムスリム―地域研究でイスラームを扱う困難について」と題するセミナーは、イスラーム世界を研究する者にとってはごく当たり前のことのように思えるが、しかし良く陥りがちな「罠」でもあるということを我々に再考させてくれた。

 第2点としては、第1点で既に触れたが、様々な大学院から全くと言っていいほど研究内容の異なる参加者が集まっていた点である。他の大学で研究している大学院生との交流の機会が少ない状況の中で、こういった場は単に“学術交流”ということに限らず、少なくとも同じ様な志・不安を抱いた大学院生との“交友としての交流”という機会でもあり非常に重要なことである。セミナー時間以外でもお互いに意見交換をすることによって、自分に今何が欠けていて何をすべきなのか、ということを考えさせてくれるきっかけになったと思う。
 
  第3点としては、セミナーにおいて発表者の問題点に対する先生方の的確な御指摘・質問は、発表者ではない受講生にとっても大変有益であった。所属する大学院のゼミ等では普段忘れがちなことを改めて意識させられ、身が引き締まる思いでした。

 総じて、単に知識面だけに限らず、少々大袈裟かもしれないが研究者にとって必要となる実践面でも学ぶことができたことは、まさにこういった場だからこそだと思う。最後になってしまいましたが、諸先生方、ならびに事務の方々には大変お世話になりました。深く感謝したします。

 

 

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