「
文字、文学、文書 ―ペルシア語文化圏の諸相」
現代における歴史記述は、現在の国民国家の枠組みにしばしば規定される面がある。本報告では「ペルシア語文化圏」という概念により、イラン、アナトリア、中央アジア、インドが特に15世紀から18世紀にかけて、ペルシア語文化を共有していたことを示した。まず、ペルシア語の歴史を概観したのち、ペルシア語文字、ペルシア語詩人、法廷文書の3つの材料からペルシア語文化圏の共通性とそれぞれの地域の個性の表れ方を論じた。そのなかで、地域研究における比較の視点の重要性を強調した。