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2005(平成17)年度
宮崎恒二
深層と表層の間―ジャワにおけるイスラーム―

 90%近くがモスリムであるジャワに関して、イスラームはその表層を成すに過ぎない、とする見方は、少なくとも部分的には、キリスト教に対立するイスラームの過小評価に由来する。植民地期におけるジャワ研究とは、イスラームの影響を排除した「固有」の伝統を追求したものであった。しかし、ジャワ人の日常生活は、すでに時間、儀礼など、「体制」がすでにイスラームによって大きく規定されている。

 ギアツの記述に見られるように、ジャワ人は、イスラーム的かジャワ的かという問いを繰り返してきた。近年、生活の体制をイスラーム的に塗り替える動きが進んでいる。

 他方、マレーシアにおけるジャワ系マレー人は、非イスラーム的と見なされる呪術を生業とする場合も少なくない。ジャワ以上に(再)イスラーム化の圧力の強いマレーシアにおいては、彼らは自らの存在基盤のニッチ保持と、モスリムとしての地位の確立という岐路に立たされている

 

 

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