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研究セミナー >> 2006年度感想・報告 >> 池田有日子
2006(平成18)年度 前期
池田有日子(日本学術振興会特別研究員(PD))
 まずアジア・アフリカ研究所の研究セミナーにおいて非常にありがたかったことは、地方からの報告者に対する旅費の支給でした。地方(私個人の場合はもともと福岡、現在関西)において中東に関連する研究を行う人間にとって、関連分野の専門知識をもった方々の参加するセミナー、研究会などで報告できる機会は非常に限られています。院生時代にこそそのような機会が必須なのですが、旅費の支給がもしなければ、私自身も断念していたかもしれませんし、断念してしまう院生もいるかと思います。その意味で、このセミナーは、地方で中東に関連する研究を行おうとしている研究者にとって、貴重な機会を提供してくださっているものだと思います。

  次に実際の報告についてですが、1人報告1時間、質疑応答1時間というのは、学会、その他研究会などでの報告と比べると、研究の主旨をはじめ論文の内容を細かく説明できると同時に、質疑応答においても詳細かつ深い議論ができる時間だと思います。様々な角度からのご意見をいただけるという機会は、実のところそれほどあるわけではないので、とても貴重な場だったと思います。さらにいえば、学会報告、研究会報告などにおいては、もっぱら事実やタームの確認と批判が中心となるのに対して、セミナーでの報告においては非常に具体的かつ建設的な意見やアドバイスをいただくことができました。こうした機会は、私にとって大きな励みになりました。

  また、昼食時間や懇親会などにおいても、AA研スタッフの方々が常にいてくださり、自分自身の研究についてさらに細かなご意見を聞くことができたと同時に、先生方の研究のお話なども聞くことができ、非常に興味深く、かつ刺激的な時間を過ごすことができました。また、そのようなとても自由な空気感のなかで、他の参加者の方とも忌憚なくお話をすることができました。昨今の状況において、これだけディスシプリシなどの枠組みや立場を超えて、屈託なく学問的な会話をできる場はあまりないと思います。自由にいろいろな方法論や地域の研究を行っている方々とお話する機会というのは非常に貴重なことであり、いろいろな知的刺激を受けることができたと同時に、単純に楽しい時間を過ごすことができました。

  最後に、アメリカのシオニスト運動の研究を行っているという極めて私個人の問題ということではありますが、「中東イスラーム」研究セミナーというタイトル自体は事柄の性格上当然のこととしてわかるのですが、できればセミナーの主旨説明で、もう少し中東に関連する研究を行う研究者でも参加可能であることを強調して、広く門戸を開放していることを明確にしていただければ有難かったと思います。
 

 

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