| 『浅井・小川未整理資料の分類・整理・研究』 |
| １．研究の概要 1-1. 組織形態 |
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| 本研究プロジェクトは、平成12年度より試験的に始められた「所外代表による共同研究プロジェクト」のひとつ。代表は、土田滋教授（もとAA研所員）だが、所内では、三尾裕子が責任者（推薦者）となっている。 |
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| 【組 織】 | |
| 研究代表者： | 土田滋（AA研所内担当：三尾裕子） |
| 共同研究員： | 末成道男（東洋大学教授）、笠原政治（横浜国立大学教授）、森口恒一（静岡大学教授） |
| 研究協力者： | 中西裕二（福岡大学助教授）、宮岡真央子（東京外国語大学大学院博士後期課程）、谷智子（福岡大学大学院修士課程） |
| 所 員： | クリスチャン・ダニエルス、豊島正之、深澤秀夫、吉澤誠一郎、三尾裕子 |
| 1-2. 主旨 | ||
| 東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所には、1970年に台湾やフィリピン等のオーストロネジア言語学者であった浅井恵倫の所蔵していた書籍を中心として、浅井文庫が設置された。現在、和洋書計870冊は、既に分類整理が済み、公開されている。しかし、この他浅井博士関係の資料としては、台湾原住民関係の言語に関する貴重な一次資料（フィールドノート、語彙集等）、台湾原住民やニューギニアの民族写真などのアルバムやフィルム、原稿、書簡、単語カード、音声資料（レコード）、８ミリフィルム、未発表の高砂族伝説集検索カード、浅井の大先輩でもある元台北帝大言語学教室初代主任・小川尚義教授の講義ノート、更に小川から引き継がれたと思われるそれ以前の時代の手書き資料（例えば伊能嘉矩のもの）があるが、これらは一部を除いて未整理のままである（公表されている研究成果については、研究業績参照）。これらの中には、戦災で現物が消失した『スピリツアル修行』のマニラ本のフィルムや台湾の平埔族関係の清代に作られた土地契約文書の原本など、現在では既に手に入れることがほとんど不可能な、貴重資料も多く含まれている。 例えば、台湾の原住民のうち、平埔族関係については、既に平埔族自体が漢化してしまっており、独自の言語、文化のほとんどを失っている。このような事実から考えれば、浅井博士の残した資料は、この方面の言語学・民族学研究にとって、大変重要な資料であるということが出来、早急に分類・整理を行って内外の研究者に公開することが必要と考えられる。 また、浅井博士の残した資料は、戦前の日本人による言語学・民族学の調査活動を考える上でも貴重なものといってよい。日本植民地時代の台湾における、民族学・言語学的な調査の全貌やそれらが果たした役割などについての批判的検討は、最近始まったばかりである。これまで、鳥居龍蔵、伊能嘉矩等については、いくつかの一次資料が整理されて公開されているが、それらは、日本植民地期に台湾を中心として活躍した学者のごく一部についてのみにとどまっている。また、個々人の資料を整理して呈示したものは公開されていても、当時の植民地政策の中での、学者たちの相互の関わり、台北帝大土俗人種学教室や言語学教室総体、はたまたこれらの研究者（の全員ではないとしても、幾人か）を産みだした東京帝国大学言語学教室としての当時の調査活動のコンセプトや実態、などについてはまだまだ研究が進んでいるとは言い難い。そこで、本プロジェクトでは、浅井博士の資料の整理・分類のみを目的とするのではなく、むしろそれを出発点として、日本植民地時代の台湾を中心とした民族学・言語学の調査活動についての批判的な検討を行っていきたい。 |
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| 【研究業績】 | ||
| 朝倉利光・土田滋（編） | 1988 | 『環シナ海・日本海諸民族の音声・映像資料の再生・解析』 北海道大学応用電気研究所（昭和61、62年度文部省科学研究費補助金総合研究（Ａ）報告書） |
| 笠原政治（編） | 1995 | 『台湾原住民族映像 浅井恵倫教授写真集』 台北：南天書局 |
| 李壬癸（編） | 1997 | 『高雄県南島語言』 高雄県文献叢書系列7:421-507. |
| 李壬癸（土田滋訳） | 2000 | 「南山大学所蔵・小川尚義による台湾原住民諸語資料」『人類学研究所通信』8:2-7. 名古屋：南山大学人類学研究所 |
| 豊島正之 | 1984 | 「浅井恵倫文庫蔵マニラ本「スピリツアル修行」」『AA研通信』51. |
| 豊島正之 | 2000 | 「浅井恵倫文庫蔵マニラ本「スピリツアル修行」」（『スピリツアル修行』マニラ本の原フィルムの印影及び書誌概説等） （http://jcs.aa.tufs.ac.jp/mtoyo/SP/ASAI/index.html) |
| Tsuchida, Shigeru | 1982 | “A Comparative Vocabulary of Austronesian Languages of Sinicized Ethnic Groups in Taiwan: Part 1: West Central Taiwan”, 『東京大学文学部研究報告７ 語学文学論文集』pp.1-166 |
| 土田滋 | 1984 | 「人と学問 浅井恵倫」『社会人類学年報』10:1-29. 東京：弘文堂 |
| 土田滋 | 1999 | 「小川尚義の未発表原稿二編」『台湾原住民研究』4:152-158. |
| 土田滋・山田幸広・森口恒一 | 1991 | Linguistic Materials of Formosan Sinicized Populations I : Siraya and Basai.（1989-1990年度科学研究費補助金一般研究（A）報告書『台湾・平埔族の言語資料の整理と分析』ix+257pp. 東京大学文学部言語学研究室 |
   東京外国語大学 アジアアフリカ言語文化研究所 |
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