ある人が魚を釣りに行った。そして本当にたくさん釣った。橇いっぱいに釣った魚を積んで、夕方、家に向かった。しかし、途中でキツネが橇から魚を取り出したのに彼はまったく気がつかなかった。家に着くとしきりに言った。
「橇いっぱい魚を釣った。」
家に帰って来て、見ると魚がまったくなくなっていて、ただ空っぽの橇だけであった。彼は言った。
「釣った魚はいったいどこへ行ったんだろう。あんなにきつく結んでおいたのに。おそらく私はうっかりして落としたのだろう。」
翌朝、彼は昨日の道をたどって、魚を釣った場所へ行った。しかし魚は一切見えなくて、ただキツネの足跡だけが残っていた。そして彼はまた魚釣りを始めた。キツネが彼のところへやってきた。彼はキツネを自分で射殺したがった。すると、キツネは言った。
「あなたは私を殺すことはできない。私を殺したいと思わないほうがいい。むしろ他の動物たちを殺したらどうですか?」
「じゃ、私はどうすればいいのだ?」
「むしろ、殺すことは考えないほうがいいだろう。いずれにせよ、私を殺すことは到底できませんよ。」
彼は魚を釣りながら、ただ聞いていた。そしてキツネを射殺する考えも止めようとした。いつの間にか、キツネがまた彼の釣った魚をこっそり盗って行った。そしてキツネはワタリガラスに会った。ワタリガラスはキツネのそばにあるたくさんの魚をみて、こう言った。
「あらまあ、あなたはどうやってこんなにたくさんの魚を殺したの?」
「この尻尾をただ穴に突っ込んだだけだ。」
ワタリガラスがまた言った。
「私もそうしたいから、あなたは川の氷のところで私に、尻尾を突っ込んで、と言いなさい。」
キツネはワタリガラスを川の向こうへ連れて行った。
「私はどうすればいいの?」
「ただそこに座りなさい。しかし魚が獲れると重くなるということを覚えておけ。」
そしてワタリガラスは頑固に穴の上に座り続けたが、あいにく尻尾が氷にくっついて凍ってしまった。翌日キツネがやってきた。
「どうだい?」
「おそらく、たくさんの魚が獲れただろう。非常に重くなっている。」
しかし尻尾が穴からまったく引き出せないのだった。
「またそこに座っていなさい。だいぶたってから私が来て、あなたを手伝って、魚を獲ろう。」
キツネはこう言って、また帰ってしまった。本当にだいぶ時間がたってからキツネが再びやってきたが、ワタリガラスは同じところでまた座っていた。
「私はもうまったく凍ってしまって、自分でここから離れることはできなくなった。だからあなたが手伝ってくれよ。」
ワタリガラスはこう言って助けを求めた。キツネは彼を手伝って引っ張ったが、尻尾が切れてしまった。そしたらワタリガラスが言った。
「あなたは一気に引っ張って。またいつか、私に知恵を出してくれるだろう。」
「私はあなたに知恵を出すことができない。」
「それじゃ、草むらのような頭の男にあなたのことを話すよ。」
「私なんか草むらのような頭の男は恐くないよ。」
「じゃ、どんどんあなたのことを言ってやる。」
こう言ってから去って行ったワタリガラスが最初に、ある人と出会った。そしてこのように言った。
「キツネは私をこのように尻尾なしにした。あなたは、いつかやつを何とかして殺しなさい。」
その人は言う。
「私はやつを殺せない。やつは非常にずるいよ。」
それからワタリガラスはクマと会って、また言った。
「あなたも何とか知恵を出してキツネを殺してくれよ。」
クマもあれを聞いて言った。
「私にはできない。むしろ草むらのような頭の男に言って、やつを射殺してもらったら。」
そしてワタリガラスが草むらのような頭の男に会って言った。
「私は最後にあなたのところに来たよ。」
その人がこれを聞いて言った。
「私もキツネを射殺して殺すことはできない。また誰かと会って、何かをさせても、すべて無駄だよ。」
それからワタリガラスはオオカミと会うと、いきなりこう言った。
「あなたはなるべく速く走って、キツネに追いつきなさい。」
オオカミが答えた。
「速く走って追いついても、まったく無駄だ。」
「じゃ、私はいったいどうすればいい?」
「お尻には毛が生えるだろう。何も気にするな。ただ毛が落ちただけだよ。どうやら私が思うには、我々の毛は落ちたり、生えたりするものだよ。」
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