ラージャクマール（ミャ＝ゼーディー）碑文 A柱 パーリ語面
Rajakumar (Myazadi) Inscription Pillar A, Pali face

茶色の字は原文の文字転写

青字は原文の形態素分析

黒字は語幹の意味。動詞の場合には時制・相・法なども含む。

赤字は人称(V), 数(N/A/V), 性(Pron/A), 格(N/Pron/A)

和訳のうち当該行に対応する部分を赤字で表す。

栄えあれ！仏陀を初めとする良き存在に敬意を表して、仏の教えのもとにラージャクマールの名を持つ者によって行われた比類無き功徳について我は語ろう。

我の言うことを聴け。世界の救主{fn1}の入滅から

１６００と２８年が過ぎ去った後、

アリマッダナの名を持つ都市に高貴な太陽の一族の生まれにして偉大なる力を持つティブワナーディッチャ{fn2}という王が在った。彼には

ティローカワ［タムスィ］カー{fn3}という寵妃がおり、（彼女は）情け深く［また］王の仕事の全てに通じていた。

彼女にはラージャクマール{fn4}という名の息子がおり、

（彼は）大臣を勤め政に携わり思慮深く

賢明であった。（かの妃に対して）日々献身的だった王は、３カ村を彼女に与えた。（３カ村の）奴隷が産み出すものを（妃が）享受できるようにするためである。

妃が死するに及んで、王は

今度はラージャクマールに彼女の３カ村を受け継がせた。２８

年間善き統治を行ったのち、致死の病の

支配が（この）人間たる王に及んだ。（ラージャクマールは）善なる王から受けた大恩の数限りなきを思い起こし

純金の美しい仏像を拵えさせた。大いなる敬意をもってこれを運び、（この功徳を）喜んだ彼（ラージャクマール）は

王の側近くに寄り、自らの思いを語る。「（あなたの）ために、

この黄金の美しい仏像を拵えました。あなたのためのこの善き

行いを、王よ、どうか喜び給え。王よ、あなたが以前に下された３カ村を、今私はただこの仏像に捧げます。そのことも

また喜び給え。」そのように言うと、王は、病のために

心が悩まされていたけれども、「善きかな、善きかな」と言って、満足し

喜んだ。慈悲深き大長老、ムッガリプッタカ長老、

その智恵によって今や「スメダ」と呼ばれる賢者。

ブラフマパーラ、そして高潔なるブラフマデーヴァ、学識高きソーナに、

サンガセナという名の並み外れた賢者。彼ら

僧侶たちの前で彼（王）{fn5}は喜び、水を地面に注いだ。（大地を）証人としたのである。それから、この大臣（ラージャクマール）は黄金の

美しい仏像を安置し、黄金の尖塔を持った寺院を作らせた。

仏像と寺院の（奉納の）儀式を終えて、彼はかくのごとく祈念した。

輪廻に倦んでいたが故である。「我が成せる事、積みし功徳が、全知に至る

因となりますよう。我によって３カ村に住む奴隷が

黄金の仏陀の像と寺院に寄進されました。

我が子であろうと、孫であろうと、他のいかなる親族であろうと、

悪しき考えと不信心な心を持つ者が

（我が寄進した）それだけの数の奴隷たちに災いをなすならば、この悪しき者が

弥勒に拝謁すること叶わなきように」

と。