現地における名称 現地では文化的に、女性がただ一人男性に混ざって行動するのを嫌うため、女性である調査者が実際に男性とともに畑へ行って観察するというのは実質的には不可能であった。そのような状況のもとで、タロに関する名称・現地での分類などを知るために、以下のような手段で調査を行った。

品種名(調査方法)


1) 農業試験場における画像資料の収集  コロニビア農業試験場 (Koronivia Research Station) で、フィジー各地から集め保存してあるタロ約80種の写真をとり、試験場での名称を記録した。写真は原則としてタロ一種につき i)全体像、ii) 葉、iii) 葉柄基部、の三枚で、特に特徴がある種については、さらにその特徴がわかる写真を加えた。これらを調査に先立ち現像・プリントし、一ページ一枚の(つまり同じ種類の各部位をセットにはせずに)アルバムにまとめた。写真資料の例の全体像にあるように立て札に書かれた品種名が写真に入っている場合にはそれを覆う形で、その他のものには余白にシールを貼って、各写真に番号をつけた。なお試験場には、それぞれの品種の採集地に関する記録は残っていないとのことである。

--> 調査に用いた画像資料の例
--> コロニビア農業試験場の位置
--> コロニビア農業試験場のタロイモアルバムへ

2) 画像資料による聞き取り調査  1)で準備した資料をワイレブ村の Rupeni Leqeti 氏(1966年生まれ)に見せ、名称を尋ねた。写真は一枚ずつ見る形で準備したためコロニビアにおける同じ種類の各部位が異なる種に同定されることもあった。これは意図した結果で、種の判断をするときにどの部位のどのような特徴を見ているのか、の手がかりにするのに役立てた。


品種名(結果)

 以上のような方法によって調べた結果、26種の現地名が得られた。具体的な名称については一覧表参照。
 今回の調査において観察された事実は次の通り。
・タロのどの部位をみて同定するか。
 写真を見て種を判断するときの様子を観察した。だいたい、全体像を見て特定する。全体像では特定できないときもある。葉柄基部は最も参考になる部分で、葉柄基部を見て種が特定できない(何らかの名称がでてこない)ことはまずない。葉は、種類のわかっているものが混ざっている場合には区別できるが、葉だけで完全に特定するのは難しい。したがって、特定のてがかりのなりやすさの順序としては、
葉柄基部 --> 全体像 --> 葉
ということになる。

・写真による同定の正確さ

・男女間の判定の違い
女性は男性より知っている種の数が極端に少ない。男性から聞いた名称を言っても「それもタロの名前なの?」と聞き返されてしまうこともあった。

部分名(調査方法)

 部分名については主として図を見せて各部位の名称をたずねることで調査をすすめた。まれに実物が手元にあった場合には、それを用いてその結果を確認した。

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調査に用いた図

部分名(結果)

一覧表参照。

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