2004年12月26日にスマトラ島沖で発生した大地震とそれにともなうインド洋大津波によってインドネシアのアチェ州を始めとして、タイ、マ
レーシア、ミャンマー、バングラデシュ、インド、スリランカ、モルディブ、ソマリア、ケニア、タンザニア、セーシェルで甚大な被害があり、30万人近くの
死者・行方不明者が出ました。犠牲者とご遺族に心から哀悼の意を表すとともに、被災者の方々の生活と社会活動が一刻も早く復旧・復興することをお祈り申し
上げます。
被災地の社会の復興には長い年月にかけての物質的・精神的な支援が必要となることが予想されます。このたびの災害でもっとも被害が大きかったアチェ
州もその例外ではありません。東京外国語大学では21世紀COEプログラム「史資料ハブ地域文化研究拠点」の活動の一環として2003年からインドネシア
の現地研究者と連携して、現地の史資料の修復・保存にかかわる活動をおこなってきました。その関係から災害の発生の直後にインドネシアの文書舘、図書館、
大学関係者から東京外国語大学に対して、アチェの史資料を中心とする文化財の復旧・保存に協力して欲しいとの要請を受けました。これを受けて2005年3
月に開設することになったのがアチェ文化財復興支援室です。
アチェ文化財復興支援室は、アチェの貴重な文化財である史資料の復旧と保存のために、日本およびインドネシアの研究者、専門家の活動の調整を行うこ
とによって、短期的には被災した史資料の復旧に対する緊急支援を行いました。アチェ等に存在する史資料の全体的な調査・保存のための研究支援を長期的な視点から進めています。