
▲展示パネル
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現代の中国で使われている紙幣をよく見てください。
何種類かの文字が書かれていますね。100元札を例に取ると、そこには中国領内の異なる言語と文字で 「中国銀行100元」 と記されているのです。漢語の発音をラテンアルファベットで表したあと、2段目右がチベット文字・チベット語、2段目左がモンゴル文字・モンゴル語、3段目右がラテン文字・壮語、3段目左がアラビア文字・現代ウイグル語です。下の方にある印章は 「篆書」 による漢字です。それぞれの文字のおおよその発音と意味をご紹介します。
(1)チベット文字・チベット語

「中国」 の発音は、漢語の音写 「トゥングォ」 の末尾にチベット語の 「の」 が
付いて音が変化しています。「ゴル」 は 「丸いもの、お金」 です。口語では「ゴーモ」 「ゴルモ」 と言ってお金の単位をあらわします。
(2)モンゴル文字・モンゴル語

通貨単位 「元」 はもともと 「丸い」 の意味から。モンゴル語には文語と口語があり、同じモンゴル文字の綴り字でも発音が違います。上は文語をローマ字化したもの、下は口語をローマ字化したものです。
(3)ラテン文字・壮語

下線は実際には発音されず、声調を示します(例:z→低く始まり下がる,h→平らに)。壮(チワン)族は中国南部に居住する民族で、かつては独自の文字も持っていましたが、ラテン文字の利用に移行しています。
(4)アラビア文字・ウイグル語
文字は右から左に読まれます。全体の読みは 「ユズ・ユェン ジュングォ・ハルク・バンキスィ(百元 中国人民の銀行)」になります。ウイグル族は中国西北部に居住するトルコ系の民族で、やや変則的なアラビア文字を使っています。
(5)漢字・漢語
漢字印で「行長之章」、つまり「中国人民銀行長のしるし」を示します。唐宋代風の「小篆」の字体です。 |