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チベットと漢字文化
■チベット文字/チベット語/現存
チベット文字 南

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▲展示パネル
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● チベット文字とは?
チベット文字は、チベット高原、ヒマラヤ山麓に広がるチベット文化圏で、チベット語をあらわすのに用いられています。北インドのラダック語、ブータンのゾンカ語にも用いられています。チベット文字の成立には諸説ありますが、7世紀頃にインド北部やネパールで用いられていた、インドのグプタ文字の流れをくむ文字の字体と酷似していることと、同じ頃にチベットを統一した王がチベット文字を制定したと史書にあることから、この時期に成立したものと推定されています。最も古い文字の記録としては、8世紀の碑文があります。その頃から今に至るまで、字体もつづり方も基本的にあまり変化していません。

● チベット文字の「点」
チベット文字には、他のどんなインド系文字にないものがあります。それは音節の切れ目ごとに書き入れる「点」です。当時のチベット人が、インドの文字を持ち込んで自分たちのことばをあらわそうとしたときに行った工夫の跡といえるでしょう。漢字世界の中国ともつきあいのあったチベット人が、1音節1文字の漢字にヒントを得て編み出したものかもしれません。

●チベット文字の書体
また、チベットでは漢字文化との接触のためか、多様な書体が発達しました。これは他のインド系文字との違いとして特筆すべきことです。大きく分けると、印刷物などにつかわれるウチェン(有頭体)という楷書体のような書体と、日常の筆記に使われるウメー(無頭体)という草書体のような書体があり、ウメーの中にはドゥツァ、スクリン、ギュクティー、キュクイーなど、さらにさまざまな書体があります。


■『チベット文字書体集成』
中央のタイトルはウメー体で書かれている。書体の伝統継承を目的に作られた本。
 



■チベット文字の「点」(ツェク)のあゆみ
[転写] btsan . po : yab . sras : gyis : ’dI : /
[現代語音] ツェン . ポ : ヤプ . セー : キー : ディ : /
[語釈] 王 : 父 . 息子 : によって : この : / [上] サムイェ碑文(8世紀後半)の一部より。最古のチベット語資料の一つ。チベットの王が仏教を国家の宗教として護り続けていくことを宣言したもの。
【解説】 音節単位で「点」が挿入されています。この段階では点は一つの場合と二つの場合が見られ、また位置も中央付近に書かれていますが、後代になると点は一つになり、位置も文字の上の横線(第一画)と同じ高さになります。チベット語ではこの「点」を「ツェク」と呼びます。


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