特任研究員
東京外国語大学
アジア・アフリカ言語文化研究所
〒183-8534 東京都府中市朝日町 3-11-1
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研究テーマ:言語学、日本諸語・諸方言(特に青森県津軽方言)、記述文法、示差的目的語標示(DOM)、文末イントネーション
母語の津軽方言の記述文法が、学部以来のテーマです。博士課程での主な関心は、示差的目的語標示(DOM: Differential Object Marking)でした。DOMは、対格名詞句の意味的な特徴や、情報構造に関わる性質などによって、対格標識が使い分けられる現象です。 興味をもったきっかけは、高年層の話者による自然談話をテキスト化したことです。母語話者として意識していたもの以外にも、多様な対格標識が存在することに気づきました。 そもそも津軽方言では、主格も対格も無助詞形が無標であり、対格名詞句の7割強が無助詞形です。残る3割弱の方に、6種類もの対格標識「バ、オ、トバ、ト、ゴト、ゴトバ」が現れます。無助詞形も含めると、対格を示す方法には7種類もあることになります。「なぜ対格標識がこれほど多いのか」、これが博士論文のテーマの一つでした。結論として、3種類「無助詞形、バ、ゴト」に還元できると考えています。
津軽方言の疑問文の文末イントネーションの研究を進めています。東北方言で疑問文が下降調になることは、先行研究で知られています。津軽方言の場合、疑問を表す文末助詞は義務的ではありません。このため、肯否疑問文と平叙文は、形態的・統語的に区別が難しいことがあります。これまで、ピッチの下がり幅の違いが弁別に関与していることを突き止めました。しかし、下降がどこから始まるかといった質的な特徴を始め、疑問文の文末イントネーションには解明の余地があります。
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