研究機関研究員,博士(社会人類学)
東京外国語大学
アジア・アフリカ言語文化研究所
〒183-8534 東京都府中市朝日町 3-11-1
Email: ikd[at]aa.tufs.ac.jp
個人ウェブサイト: http://otomonotes.wixsite.com/otomonotes
研究テーマ:人類学,中東地域研究(特にレバノン)
1975年から1990年まで内戦を経験し,それゆえにフィールドワークを行う余地が限られていたレバノンでは,再び実地調査を行えるようになり,研究の蓄積もなされつつあります。起源としては19世紀後半にまでさかのぼると考えられる「宗派主義」のありかたが,内戦以降どのような展開を見せているのかは,注目されているトピックのひとつです。私は,イスラーム教徒,キリスト教徒のいくつかの宗派が混在する田舎町で2000年代後半にフィールドワークを行いながら,日常生活の中での人々の微細な振る舞いが,「宗派主義」的なありかたにも,「宗派主義」の関与しない脈絡にも出現することに興味を抱き,こうした振る舞いこそが生活世界の基底にあり,「宗派主義」はそのごく一部として現象するものではないかという着想を検討してきました。特に,宗派間の違いについて無知を装うといった日常のごく些細な振る舞いが,時として緊張や暴力に通ずる「宗派主義」を支えるものではないかという,日常と暴力の問題について関心を持っています。
レバノンはアラブ世界の中で相対的に高齢社会化が進行している地域です。レバノンにおける高齢化には,若者たちの国外への移民,家事労働の一環として高齢者のケアに携わる移民労働者(東南アジア,南アジア等の出身者が多い)の流入といった,グローバルな人間移動の要因が密接にかかわっています。高齢者施設をフィールドワークしながら,移民研究と老年人類学が交錯する領域で,いかにレバノン的な高齢社会のありかたが現れるかを明らかにする作業に取り組んでいます。
研究プロジェクト:
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