国立民族学博物館所藏「中西コレクション」
B24
ヴィシュヌ神の称名集
タミル文字グランタ文字

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ヒンドゥー教の主神の一人であるヴィシュヌの名前をサンスクリット語とタミル語を交えて書いてある写本です。

おそらくは18世紀頃のものですが、タミル語の部分がタミル文字で、サンスクリット語の部分がグランタ文字で書かれています。グランタ文字は、南インドのタミルナード州においてサンスクリット語を表記するために用いられる文字で、タミル文字と重なる部分はかなり似ています。

内容は、ヴィシュヌ神が持っているさまざまな名前を唱えて讃える一種の称名集です。神の名前はサンスクリット語であるのに、「〜であるあなたよ」という呼びかけの語尾がタミル語の形をしているという複合的な表現となっているのが神様とかかわるときのあり方として興味深いものです。タミルナードのヒンドゥー教寺院を訪れると、信者が集まってこうした讚歌を歌っている光景を眼にすることができます。

(高島 淳)