国立民族学博物館所藏「中西コレクション」
B16
『サティパッターナ・スッタ』(「念処経」)
シンハラ文字、シンハラ語

詳細を見る

パーリ語からシンハラ語に翻訳された仏教経典の貝葉写本です。

スリランカの古都キャンディ(コロンボより内陸部に約115キロ)に現存するマルワトゥ・ヴィハーラ寺の管長を務めたティッバトゥワーウェ・スリー・シッダールタ・ブッダラキタ大僧正<在位西暦1753−1773>が、パーリ語で著された Satipatthana Sutta (パーリ語の阿含経の中の「念処経」)という経典をシンハラ語に翻案した作品であると思われます。

大僧正はマハヌワラ時代(センカダガラ後期1706−1815)キャンディ王国3代目の王に即位したキールティ・スリー・ラージャシンハ王<在位1747−1782>の支援を受け、『礼拝伝承史』(プージャーワリヤ)や他のパーリ語経典を手本として、仏教僧だけではなく広く一般の仏教徒を対象に仏法を説く目的で、1773年にこの作品を翻訳し終わったように述べられています。

(野口 忠司)