クメール文字で書かれた絵入りの仏典です。
上座部仏教の経典では、パーリ語で書かれたお経そのものの他に、善男善女を導く絵解き物語があり、お釈迦様が悟りを開くに至った道筋、地獄や天国の様子などがわかりやすく書かれています。
衆生には、ありがたくも意味のわからないパーリ語のお経だけでなく、地獄の恐ろしい有様を絵で見ることが、信心を深める近道でしょう。 タイの折本は、コーイ(ムクバナタオレボク)という木の樹皮で作られます。
タイでは最近までクメール文字のムール体(丸文字体)を用いたパーリ語の経典が使われてきました。この折本では、パーリ語だけでなく、クメール文字にタイ文字で使われる声調記号を加えてタイ語を表記した部分もあります。声調符号の他、北タイのラーンナー文字と同様に、音節末子音字を、脚文字といって音節初頭子音字の下に書く点に特徴があります。 (峰岸 真琴)
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