日本学術振興会 人文・社会科学振興プロジェクト研究事業
領域II - (1) 平和構築に向けた知の展開

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報告

サイエンスカフェ人社版「飛び出す人文・社会科学〜津々浦々の学びの座〜」
「人間の安全の現在」

日時:2007年7月31日(火)14:30-16:30
場所:府中市生涯学習センター(府中市浅間町1-7)
講演:床呂郁哉(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所准教授)

参加者は、府中市生涯学習センターにて他の講演会に参加した経験のある府中市民から募った19名、そして「地域研究による「人間の安全保障学」の構築」グループからの飯塚正人氏、床呂郁哉氏、黒木(いずれも東京外大AA研)が、「ジェノサイド研究の展開」グループリーダーの石田勇治氏の、総勢23名であった。

「人間の安全保障」という抽象度の高い概念をもとに議論することになるため、まず最初に沖縄という日本国内の特徴ある地域を素材として、歴史・政治・環境・生活の交錯する場のなかで「人間」と「安全」を結びつける話を、人類学が専門の床呂郁哉氏にしていただいた。パワーポイントを使い、写真を多用したわかりやすい床呂氏のプレゼンテーションは、特に食・住文化といった非常に身近な素材を中心にして、身体的な問題から社会・国家・世界へと広がる視覚を提供するものだった。 このプレゼンテーションに対する質疑の時間を取り、様々な事実関係に関する質問が参加者の間から出され、これに床呂氏が返答する中で、対話しやすい雰囲気が醸成されていった。

ある程度沖縄の話が弾んだところで、「府中市に住む皆さんが自分の身の安全、そして人間の安全といったものをどのようにお考えですか?特にこの沖縄の人々の状況と比較してどんなことをお考えですか?」と水を向けたところ、日常生活のちょっとした瞬間における危険、たとえば交通事故に遭いそうになることがしばしばある道路事情、といった問題から、食品の安全に対する疑い、世間を騒がせている年金問題に至るまで、様々な論点が提出された。そこで、「今提出されたこのような問題は、実は相互につながりあって、世界各地の状況とも結びついています。人間は誰でも安全な状況を求めるものでしょうが、こんな大きな広がりを持つ問題を改善するためにどんなことを考えるべきでしょうか?」と問題を投げかけた。すると、ある参加者の方が「すべては信用の問題に行き着く。人と人との間で信用が成り立ちにくい環境になってしまったことが、こうした安全でない状況ができあがった原因なのではないか」という発言をされた。実に、当方はそのような意見が出ることを期待してこのカフェに臨んだのであった。人と人の間で、社会の間で、国家の間で、信用を構築していくためにはどうしたらよいのか、こうした問題に学問はどのように取り組むべきなのか。私たち研究者に大きな課題が投げかけられ、期待が寄せられていることが参加者から指摘され、激励されてカフェは終了した。

(報告:黒木英充)

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