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2009(平成21)年度 教育セミナー報告

西園 知宜(早稲田大学大学院社会科学研究科)

 東京外国語大学が主催するこの教育セミナーに参加し、多くのものを学べた事は自分にとって、今後イスラーム研究を進めていく上での大きな財産になると思う。学部時代は英米文学というイスラームと全くジャンルの異なる勉強をしてきたので、修士一年生になってから始めたイスラーム研究は何よりも増して難しく感じた。特に私が専攻に選んだパレスチナ問題については、どうやって研究を進めていけばよいのか、どこに焦点を絞って研究すればよいのか、自分でも自分がやっている事をよく理解できない状態にあった。そんな中、四日間続いたこのセミナーに通い、学生や先生方の発表を聞いていくうちに自分の視野の狭さや基本知識が不足している事に気付いた。特に、オスマン帝国が崩壊し、中央アジアがソ連の支配下におかれた後のソ連邦政府によるイスラーム女性の解放運動について説明した帯谷先生の「フジュムの頃―ソ連体制下の中央アジア女性解放運動と現代」やこれまでのアメリカにおける中東研究の歴史や流れについて分析した松永先生の「イラン政治の研究に際して思うディシプリンと地域研究のバランス」、またレバノンにおける宗教の多様性と分布について概説した黒木先生の「多様性と他者性のダイナミズム―アラブ・キリスト教徒研究の視角」、ミンダナオ紛争の歴史や現状について説明した床呂先生の「『辺境』ムスリム社会のフィールドワークから―紛争下のフィリピン・ムスリム社会に関する人類学的メモワール」のセミナーを聞けた事がこれまで、パレスチナ問題にばかり注目し、ほかの中東地域にあまり興味を示さなかった自分の研究態度を反省し、今後の研究を進めていくための視野を広げるきっかけとなった。このような貴重な体験ができた事を本当に良かったと思う。しかし、今回のセミナーの唯一の心残りは、自分が発表をしなかった事である。セミナー終了した今となっては、自分も先生方に発表内容について叱ってもらい、アドバイスを頂きたかったという思いでいっぱいです。

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