2009(平成21)年度 教育セミナー報告
永山 明子(東京外国語大学大学院総合国際学研究科)
今回参加させて頂いた4日間にわたる中東・イスラーム教育セミナーは、受講生も多く、うち7人が発表を行うという充実したものでした。スケジュール上は40分間の受講生による発表と30分間の質疑応答から成っていましたが、多くの発表でその時間内に収まりきれない活発な議論が展開されました。参加者、発表者の数が多いことで多様な地域や分野の発表を拝聴することができ、質疑応答にも厚みが出ていたように思います。
私は今回発表を行いませんでしたが、初日終了後の懇親会や参加者が一堂に会する昼食の席で何人かの受講生や先生方とお話をさせて頂きました。これまで自分の知らなかった他の受講生の方々の専門分野に触れることで「中東・イスラーム」という分野の地域や研究視点の多様性について改めて認識する機会となるとともに、周りの方々から質問を頂くことで自分の専門分野についての知識不足を自覚することもできました。
また、他の受講生の方々と接することで、プレゼンテーションのノウハウや積極的に批評や助言を求める姿勢など、多くのことを学ぶことができました。しかし議論に積極的に加わる重要性を感じると同時にその難しさも痛感し、自分にとっては反省点も多々残る結果となりました。
それぞれの多様な視点から問題関心をもつ先生方や受講生の方々のお話を聞くことができた今回のセミナーは、自分自身のディシプリンというものを再認識する良い機会にもなりました。トルコ語という「言語」から中東研究の道に入り、同様にトルコ語というツールを用いてさまざまな研究を行っている友人たちに囲まれていた私には、研究対象は「トルコ」であるという認識はあってもその研究対象を「歴史学の視点で」研究しているのだという認識が欠けていたように思います。これはこのセミナーに参加しなければ気付くことのできなかった点の1つであり、その中で私にとっては最も重要な点でした。
末筆ながら、研究内容に関するご教授のみならず、学生時代から現在に至るまでの多くの研究の裏話をお話しくださった先生方、セミナーの企画・運営を通して手助け頂いたスタッフの方々に深く感謝申し上げます。この4日間の貴重な経験を無駄にしないよう、今後に活かしていきたいと思います。