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2009(平成21)年度 教育セミナー報告

石田 友梨(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科グローバル地域研究専攻)

 9月14日から17日にかけて行われた教育セミナーは、たった4日間であったとはいえ、充実したものであった。

 セミナーの具体的な流れを紹介しよう。午前中に有志の受講生が40分の発表を行い、質疑応答に30分かける。先生方も受講生と並んで参加してくださるため、質疑応答が非常に活発で意義深いものとなった。時間が延長されることもしばしばである。

 受講生は「中東」と「イスラーム」に関するさまざまな分野から参加している。普段あまり触れることのない分野についての発表は、知識不足で聴いているのがやっとのこともあった。しかし他の受講生がどのような研究を行っているかを知ることは、興味関心を広げるいい機会になったと思う。また、自分の研究について新たな視点を得ることもあった。たとえば筆者が研究対象としている「スーフィズム」であるが、中世の文献に基づいて今まで理解しようとしてきた。この「スーフィズム」が中央アジアの建築の研究では、同じ言葉を用いながら理解の仕方も分析の用法も異なってくる。このようなことが新鮮でもあり、自分の研究の不完全さを気付かせてくれるものでもあった。

 先生方の質疑応答によって学ばせてもらったことだが、手持ちの知識でいかに異なる分野に切り込むことができるか。これを常日頃から意識しておかねばいけないのだろう。「専門が違うから関係ありません」という態度では今回のような貴重な機会を無駄にしてしまう。それにしても先生方の知識と関心は広くて深く、圧倒された。筆者も拙いながら今回発表させてもらったのだが、普段とは違う観点から批評・指摘・叱咤などをいただき、研究の行き詰まりと感じていたものが見事に晴れた。セミナーの目的が「教育」であることに改めて感謝したい。

 さて、先生方と親しくお話しできる昼食を挟み、午後は講義である。各分野の第一人者による贅沢なもので、約60分の講義の後に質問の時間も60分ほどある。さらに先生方から学びたいと思ったら、毎日セミナー後に開かれていた飲み会に参加されるといいだろう。研究内容に限らず、研究者としての生き方、某研究者の生き方といった裏話まで教えていただくことができる。憧れの先生とお話できるどころか、励ましの言葉までいただけるかもしれない。

 最後になったが、受講生同士の出会いや再会の場としても得難いものであった。今回は院生だけでなく、実際の行政に関わっている方も参加されていたので、これもまた刺激になった。大学で研究していることがどう社会で活きるのか、社会からの関心や求められている情報は何かを考えつつ、それらに応える研究をしていくのが理想だろう。そのようなことも含め、今後の研究に新たな気持ちで臨みたいと思う。

 度々ご迷惑をおかけしてしまった運営スタッフの皆様、寛大な心で指導してくださった先生方、どうもありがとうございました。

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