2008（平成20）年度　教育セミナー報告

　この度は、中東・イスラーム教育セミナーに参加させていただき、ありがとうございました。中東・イスラーム研究の専門家である先生方、アジア・アフリカ言語文化研究所の研究員の方々、そして多様な研究テーマを持っている受講生に囲まれ、貴重かつ有意義な４日間を過ごすことが出来ました。

　今回、このセミナーに参加して特に印象に残ったことは、第一に、中東・イスラームの名の下で広がる研究の広範さ、複雑さそして面白さです。セミナーの内容や受講生発表からも明らかなように、地域では東南アジアから南アジア、中近東諸国、欧州に広がり、方法論では歴史学、社会学、政治学、人類学、法学、アーカイブズ学と幅広く研究が行われています。様々な地域で多様な切り口から研究できる面白さを再認識する４日間となりました。

　第二に、地域ごとの特性や違いを意識せずに「中東」と一括りにして語ってしまうことや、言葉の深みを考えずに何でも「イスラーム」という言葉で説明しようとする態度に対し、反省するきっかけにもなりました。多種多様なイスラームが存在する中で、「イスラーム」ということばで実態を覆い隠し、うやむやにして理解したつもりになっていることがいかに多いかを考え直すことができた点からも、今回のセミナー参加が有益であったと実感しています。

　第三に、セミナー参加者の研究分野や関心事項から学ぶことが非常に多かったことも印象に残っています。講義を担当された先生方のご報告や受講生発表はそれぞれがユニークで、見聞を広めることができただけでなく、発表に対する質問やコメントからも多くを学ばせていただきました。それぞれの研究がユニークな中で、共通する部分や相互に関連する部分もたくさんあり、自分の関心や問題意識を広げることができました。また、先生方がご報告の中で、研究のきっかけや研究史を具体的に話して下さるというのも、この教育セミナーのユニークさで、参考になるだけでなく、とても励みになりました。

　レジュメをセミナー前に配布することで理解を促進したり、受講生が交流しやすくするために関心分野や研究テーマを事前に知らせたり、改善を重ねながら、是非この企画を続けてほしいと思います。

　最後になりましたが、お忙しい中ご参加下さった先生方、貴重なアドバイスを下さった研究員の方々、セミナー全日程を通じてご支援いただいた事務局の皆様、そして各地から集まってくださった受講生の皆様に、重ねて御礼申し上げます。