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教育セミナー >> 2007年度感想・報告 >> 梶田 知子
2007(平成19)年度
梶田 知子(東京外国語大学大学院地域文化研究科博士前期課程)
 今セミナーに参加して、「中東・イスラーム」というフィールド広大さと、その研究方法、すなわち学問分野の多様さを再確認することができた。

  「中東・イスラーム」という研究範囲は、日本・世界で行われている研究全体の中では狭いかもしれないが、研究テーマは本当に多様である。私はフィールドをエジプトに限定して研究しているが、イランや東南アジアなど他地域をフィールドとする研究者の報告を聞くことができ、各々の地域の共通性や相違性を見出すチャンスとなった。その一つの例として、「近代」「近代国家」が多くのセミナーや受講者発表でテーマとなっていた。現在「中東・イスラーム」の持つ共通する課題の1つは、「近代国家」という枠組みへの対応にあるようである。

  また、講師の先生方に各学問分野の持つ課題を生々しく語っていただいたことは、研究者を志す者にとってかけがえのない体験になった。講師の研究方法は多彩で、研究者の数だけ研究方法があることを目の当たりすることができた。研究者は、自ら研究方法を開発していく。その努力を垣間見たことで、研究を続けることに対する不安が和らぎ、「研究をすること」がどういうことなのか、が以前よりも明確になったように思う。大先輩である講師の先生方だけでなく、同じ志を持つ受講生仲間に出会えたことは、かけがえのない経験となった。日ごろは一人で行動することの多い院生にとって、研究仲間を得る機会は貴重であったと思う。

  現在、欧米におけるイスラーム教徒の研究が盛んに行われるようになっており、今後、教育セミナーには欧米をフィールドとした研究者の参加も予想される。「中東・イスラーム」という研究テーマが多彩さを増していくなかで、このセミナーはどのように形を変えていくのだろうか。「中東・イスラーム」と銘打つことの意味・目的が問われてくるのではないだろうか。

  受講者にとって、このセミナーは研究の一通過点である。自らの反省点を含めて、今セミナーで得たことを活かしながら、今後の研究に精進していきたい。
 

 

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