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2009(平成21)年度 研究セミナー報告【後期】

タシメメティ(中部大学大学院国際人間学研究科博士課程)

 イスラームの前に中東が付いていたので、いつも自分の研究とは無縁かと思っていました。実際に研究セミナーに参加してみたら中東地域に限らず、東南アジアイスラーム地域も含んでいたことが分かりました。それで安心しました。

 自分の研究対象は中央アジアのイスラーム社会(具体的に言うと新疆ウイグル自治区のウイグル人社会)です。現時点では政治的な理由で本地域に入って直接フィールドワーク調査を行う道が閉ざされています。殆どの研究者は資料分析か近隣する地域のウイグル人社会或いはほかの地域に生活するウイグル人移民グループに対する調査を行っています。これが現代ウイグル社会を研究する二つの主な研究方法になっています。

 私はトルコに在住するウイグル人移民グループに対するフィールドワーク調査から、彼らの移住の目的や今の生活様式、結婚やトルコ社会との対話など全てを調査対象として収集できる全ての情報を収集してきました。研究セミナーでの発表は彼らの結婚に関する資料の分析でありました。

 今回の研究セミナーで発表した最大の目的はアドバイスを得ることでありました。このアドバイスというのはほかのイスラーム地域研究者の視点を知ることでもありました。理論的にはイスラームが提唱するのはウンマ社会であり、民族性やネーションなどを拒否します。トルコ共和国においても所謂親イスラーム派と親世俗の民族主義者の対立もしばしば見られます。しかしながらどちらにしてもトルコ社会において完全にシャリア体制に賛成する人々は少数派であり、多くの人はイスラームとネーションを同時に受け入れます。これが国民の帰属意識であり、トルコ社会に滞在するウイグル人グループも自分なりの帰属意識を持っています。博士課程において私は現代ウイグル社会の帰属意識を探求することを目的としています。ほかのイスラーム地域においてはどうなっているのか、研究調査はどのような方法で行っているのか、どのような資料を収集しているのか、分析はどのように行っているのか、等々、基本的な情報ですが、比較する必要がありました。

 私にとって一番よかったのは、本研究セミナーがこのような特に若い研究者が情報交換する場であったところでした。一人2時間あるので、十分に聞いたり、質問したりできますし、しかも専門家である先生方のさらに詳しい補足や指摘を頂くことができます。私は自分の研究の方向を再確認したり、ミスを発見したりしました。この点は本研究セミナーをほかの学会や研究会とは違う特別な存在にしている点でもありました。中東イスラーム研究セミナーは本当にまだまだ続けてほしいです。

 留学生として、それから日本に長期間滞在してもまだ日本人研究者の真面目さを身につけていない私を赦して丁寧に色々教えて下さった先生方に感謝します。特に事務室の千葉様に一番お世話になりました、本当にありがとうございました。

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