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2009(平成21)年度 研究セミナー報告【後期】

田熊 友加里 (日本女子大学大学院文学研究科史学専攻博士課程)

 中東イスラーム研究セミナーについては、以前に指導教授の先生から勧められたことがありましたが、果たして私の力量で参加することが可能なのかと迷い、なかなか応募までの一歩が踏み出せずにいました。転機となったのは、博士課程ニ年目に研究の方向性や将来の博士論文に向けた研究計画の曖昧さを自覚し、次第に危機感を抱くようになったことでした。また、私の所属する大学院では中東を専門に研究する院生が少ないため、個人的に他大学のゼミ等に参加することはあっても、日常的な意見交換の場がかなり限られています。そのため、セミナーを通じて様々な研究分野を専門とする受講生の方と交流の機会をもちたいとの切実な思いもありました。

 実際にセミナーに参加しての感想は「思い切って応募してよかった」の一言に尽きます。何よりも印象に残っているのは、先生方の受講生に対する非常に熱心な姿でした。私は「近代ドイツにおける中東産絨毯の収集」をテーマに、ヨーロッパと中東との文化交流史について発表させて頂きましたが、内容はヨーロッパ側からの視点に終始しており(使用資料上の理由もありますが)、当時のドイツにおけるオリエント観との関係に多少言及したものの、本セミナーが掲げる中東研究とはかなりかけ離れた内容でありました。このような場違いな発表にも拘わらず、質疑の時間には先生方や受講生の皆さんから沢山のご指摘・ご助言を頂くことができました。ちょうどこの時期に、私は研究の方向性をめぐって一種のジレンマに陥っており、自分の立場が中東史なのか、ドイツ史のなかのオリエント思想史なのかという根本的な問題に直面していました。今回の発表に対して多くの方が関心を示して下さったことで、自分の研究の意義を再確認でき、大変感謝しております。また発表後も、研究と関連のある文献やシンポジウムなどの貴重な情報をご教示頂けたことも大きな収穫だったと感じています。

 今回のセミナーを振り返ってみると、例年よりも受講生が多かったため、初日の午前から終日発表というハード・スケジュールでした。しかし、セミナー全体の雰囲気は決して殺伐としたものではなく、発表時には程良い緊張感のなかで活発な議論が展開される一方で、休憩時間には先生方や受講生の方々とお茶を片手に談笑するなど非常にメリハリのついた日程だったと思います。当初は想像以上に広いセミナー室と録音機器にすっかり怖気づいてしまいましたが、こうした雰囲気のお陰で、全日程の前半戦を終える頃には余分な緊張感を抱えることなく、セミナーに集中することができました。

 私の反省点としては、他の受講生の方の発表に対して積極的に討論に加わることができなかった点が挙げられます。私の知識不足によるものですが、折角受講生の方と交流することのできる機会であっただけに残念でなりません。ただ、セミナー後の「夜の部」には、指導教授からの「できれば三日間参加すべし」との御達しに従い、最後までお世話になりました。このような充実した三日間は後にも先にもなかなか経験することができないと思います。

 最後にひとつだけ改善点として、首都圏の遠方(片道ニ時間以上)に居住する受講生にも宿泊手当が支給されれば、より多くの方がセミナーに参加できるのではないかと思います。ご検討頂ければ幸いです。

 末筆になりましたが、セミナーご担当の先生方、事務局の千葉様には大変お世話になりました。心より御礼申し上げます。

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