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2009(平成21)年度 研究セミナー報告【前期】

浜本 一典(慶同志社大学神学研究科博士後期課程)

 中東・イスラーム研究セミナーには、私の指導教授である中田考先生の強い勧めに従って応募した。最初は参加するのが億劫で、どうやって逃げようかと言い訳ばかり考えていた。というのも、私はまだ博士論文の構想を練り始めたばかりで、研究成果を披露して指導を仰ぐ段階には達していないとの思いがあったからである。

 だが振り返ってみると、やや背伸びをしてでも早い段階で研究セミナーに参加したのは正しい選択であった。これには二つの理由がある。第一に、博士論文に限らず、何事においても早めに誤りを正すことが成功への近道だからである。第二に、このセミナーでは受講生の研究の進展状況に応じた適切な指導が受けられるからである。博士論文の構想段階から完成直前まで毎回応募しても良いくらいである。

 学会での発表に比べ、研究セミナーでの各受講生の持ち時間はかなり長い。とりわけ60分間の質疑応答は滅多に経験することのない長さで、これこそが研究セミナーの敷居を高く感じさせる最大の原因であろう。だが、この60分は発表者に恥をかかせる時間ではない。スタッフの先生方からの質問とコメントは全て、受講生の博士論文の質が向上することを願って発せられる。私の場合は発表が粗末であったために手厳しい指摘も頂戴したが、それを謙虚に受け留めることができたのも、辛辣な言葉の裏に先生方の学問に対する真剣さと受講生に対する優しさを感じたからである。この質疑応答の音声記録は、斎藤剛先生の体験談と共に、博士論文の執筆という気の遠くなる作業を前にして挫けそうになる私を今後も励まし続けてくれるに違いない。

 夜の懇親会や昼のお弁当の時間も学びの多い場であった。先生方から研究内容や留学先についての貴重な情報や面白おかしいエピソードを聞かせて頂いた。こっそり著書をプレゼントして下さった方、食べるのを忘れて議論に付き合って下さった方もいらっしゃった。だが、それ以上に印象深かったのは、スタッフの先生方同士の仲の良さである。研究会での自由闊達な議論もこのような親密な人間関係があって初めて可能になるのだと思われた。ある先生が懇親会でおっしゃった、「気の置けない仲間をできるだけ多く作ることが研究生活の目標だよね」という言葉が忘れられない。

 実に有益なセミナーであったが、これはAA研スタッフの先生方、何度も丁寧な連絡を下さった事務局の千葉さん、親しく交わって下さった受講生の皆様のお陰である。心からお礼を申し上げる。

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