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2008(平成20)年度 研究セミナー報告【後期】

吉村貴之(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所非常勤研究員)

 研究セミナー恒例となった所員による博論執筆体験談だが、これは単にこれまでの自分の研究をまとめるのとは違い、博論執筆時の苦労話も含めて面白おかしく語り、2日半の長丁場の議論に疲れてしまった受講生にとって肩の凝らない、しかも有益な話にしないといけないらしい。研究発表であれば、プレゼンテーションの方法が決まっているのでむしろ楽なのだが、博論執筆中のエピソードとなると、私の場合、しばしば執筆の中断期間があったため、何章何節をいつどのような状況下で書いたかといった記憶も曖昧で、どこで行き詰まり、どう立て直したかといった実践的な助言も思い浮かばない状態で発表当日を迎えてしまった。

 いつものことだが、話すことがなくて発表時間が余ると思いながら、いざ話し出すとつい余計な説明を入れすぎて時間切れになってしまうのが悪い癖だ。今回もご多分に漏れないどころか、いつも以上に話が脱線してしまい、結局「自分の指導教官が論文執筆の指導をしないことを信条としていた」だの、「奨学金が切れて副業で生活する期間が長くなると、論文を書くモチベーションが下がってくる」だの、「アルメニア近現代史には政治的に微妙な問題が多いので、研究を発表すると関係各所から苦情が来て大変」だの、単なる飲み屋での浮世談義と変わらない内容になってしまい、果たして受講生に役立つ話だったかは心許ない。

 もっとも、受講生の質問にも「指導教員が忙しすぎてあまり面倒を見てくれない」という相談があって、研究者の興味関心が拡散し、さらには独立法人化に伴って教員の公務が増えたせいで、学生の論文指導が十分に行き届かない問題は深刻だということは今さらながら痛感した。今後もこの研究セミナーがそうした現状を少しでも改善する一助ともなればと切に願うばかりだ。

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