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2008(平成20)年度 研究セミナー報告【後期】

川端隆史(外務省国際情報統括官組織第二国際情報官室事務官)

 まず、大変充実した3日間であり、俗な言い方をすれば、有給休暇を取得して参加した甲斐があったというのが率直な感想である。私の場合は、他の受講生とは異なり、外務省で行政官としての仕事をしつつも研究の世界にも足を突っ込んでいるという、変わったケースであった。そもそも自分自身に受講資格があるのかどうか疑問ではあったが、これまで発表した共著書や論文、学会での発表などを評価していただいたのか、幸いなことに受講生として受け入れていただいた。学生時代を過ごした大学で再び学ぶ機会を得たことはとても感慨深いものであった。

 次に、セミナーの様子である。受講生の専門分野・地域は多岐にわたっていたが、どの発表も飽きることなく、自分の専門や関心と比較しながら参考になる点が多かった。研究対象の時空の違いを超えて、意外と共通項や参考になる事柄が見つかるものである。

 発表に引き続き行われた約1時間の議論は、AA研の先生方が懇切丁寧にコメントや質問を投げかけていた。私の参加目的は、東南アジアやマレーシア研究者以外から自分の研究がどうみられるのか、ということを試すことにもあった。そのため、中東地域や歴史学を専門とする先生方から有益なコメントを頂くことができ、参加の目的を果たすことが出来た。また、論文の作成にあたり、一般の大学院生のような指導を受ける機会のない私にとっては、論文として完成させるために足らないデータや資料などについて具体的にどうすべきかにまで踏み込んでご指摘を頂いた点も大きな収穫であった。

 タイミング良くフェローとしてAA研に滞在されていた京都文教大学の奥野克己先生がご出席されていたとことも幸運であった。先生が、眼光鋭く、議論をじっと聞いた上で発言された内容は、発表内容の本質を突くものであった。

 本セミナーはもう既に完成度の高い事業となりつつあるが、敢えて改善点を一点だけ提案したい。それは、受講生の主要業績を事前にシェアできれば良かったという点である。例えば、修士論文や大学紀要論文などで代表的なものや発表と特に関わりの深い論文などを要旨の事前送付の際に併せて送るなどすれば、事前に自分の専門分野と絡ませつつ、発表をより的確に聞き、質問をすることができたように思える。

 今後受講される方には、お昼はお弁当とし、毎晩の予定は入れないようにしておくことを強くおすすめする。お昼の時間は、発表の「延長戦」が行われるし、夜は、初日の公式懇親会以外にも非公式の懇親会が事実上用意されており、先生方と参加者からの硬軟交えた話を聞くのはとても楽しいことであった。こうした非公式の議論の場での意見交換は、本セミナーの意義を補完し、充実させるものである。加えて、常にご多忙にされているAA研の一流の先生方と時間をまるまる3日間も共有できることは、単に研究内容に関わることだけでなく、人生について学ぶ良い機会でもあったと思う。

 こうしたセミナーの運営は、自分の行政官としての経験からも言えることであるが、周到なロジスティックスの準備と当日の円滑な運営無しに成功はしない。受講前、メールへの返事が遅くなりがちな私に対しても、きめ細やかにお世話を頂いた千葉さんをはじめ、セミナーの成功を支えてくださった事務局スタッフの方々に感謝申し上げたい。

(* 本セミナーには、一個人として出席したため、本文は、外務省及びその関連団体の公式の立場をいかなる形でも反映するものではないことをお断りしておきます。)

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