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研究セミナー >> 2007年度感想・報告 >> 小川浩史
2007(平成19)年度 後期
小川浩史(立命館大学大学院先端総合学術研究科一貫制博士課程)
 中東・イスラーム研究セミナーの存在は以前から知っており、博士論文を提出する前に必ず受講したいと思っていた。これまでの研究では言説と歴史に着目して「アイデンティティ」構築を分析してきたが、中東イスラーム地域を専門とする方々の厳しいご指摘を受けることでそれらをもう一度問いなおし、今後の研究の骨格となるものを鍛えたいと考えていたからである。その意味で、今回の研究発表は一つのチャレンジだった。

  一時間の発表時間を遵守し、一時間の質疑に応じることは大変なことだったが、これらのマナーやスキルを向上させることは研究者を志すものにとって不可欠なトレーニングだと思う。また、決して明快ではなかった私の発表に対する的確なコメントの数々は、今後の研究の方向を考える重要な指針をも与えてくれた。アラビア語に含まれる微妙なニュアンスの問題は理論的見地でものごとを単純に割り切ることの危険を再認識させてもらえたし、表出する言説のみでは把握することのできない要素の大切さと、それを拾いあげる努力の重要性も教えていただいた。そして何より大きな収穫は、たとえ異なるアプローチでも共通の認識枠組に到達できるという希望を得たことである。

  これらの収穫は指導してくださった先生方だけでなく、同時代的な問題意識を共有していた他の発表者の方々なくしてはありえないことだった。このような有意義な場を提供してくださったみなさんに心から感謝したい。
 

 

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