インドネシア語新聞翻訳
2010年11月30日(火)
【レプブリカ紙】


現金寄進の社会への普及はまだ進んでいない

【ジャカルタ】
 インドネシアにおいて現金による寄進(訳注1)はまだ完全に社会に普及していない、とインドネシア寄進団体(BWI)の管理者育成部門のジャフリル・カリル氏は、11月29日(月)本紙に対して語った。1年前に社会普及を図って以来、今日まで現金による寄進はやっと約20億ルピア(約2千万円)が集められたのみだ。

 「インドネシアのイスラーム教徒の数が国民の88%以上を占めているのにもかかわらず、これだけの金額しか集まらないのは非常に憂慮すべきことだ」と彼は語った。同氏は、BWI が集める現金寄進の額が今後はますます増えることを期待している。彼はインドネシアよりもはるかに多額の現金による寄進を集めているマレーシアの寄進団体と比べて、次のように述べた。

 「イスラーム教徒の数がインドネシア住民の約10%に過ぎないのにもかかわらず、彼らは1年におよそ500億ルピア(約5億円)を集めている」同氏は、銀行の顧客約200百万人がBWIのパートナーとなり、1ヶ月に平均10万ルピア(約1,000円)の現金を寄進すれば、1ヶ月に200億ルピア(約2億円)を集めることができると語った。(1ヶ月に10万ルピアとあるのは1万ルピアの間違いと思われる。訳者注)

 ムバラカ・シャリア保険会社の元最高経営責任者であった同氏は、BWIは現在すでに全国規模の銀行7行と提携していると述べた。将来的にはさらに多くの銀行と、特に地方開発銀行(BPD)のような地方の銀行との提携が進むことを、彼は期待している。

 社会への普及を促進するために、BWIは地方への代表事務所の開設を進めている。現在すでに、東ジャワ州、東カリマンタン州に BWI の代表事務所がある。寄進の額が少ないのは、社会への普及が進んでいないことに加え、人々がまだ現金寄進という言葉を理解していないからだ。

 「これまで人々は、寄進(ワカフ)とは家屋、土地などの不動産による寄進であると理解しているだけだった。一方、現金の寄進はまだよく知られていなかった」と彼は述べた。しかし、現金を寄進することによって、多くの効果を収めることができる、と彼は続けた。

 現金による寄進は、例えば、病院の建設、ガソリンスタンドの設置、教育センターの設立、そして学校を中退した子供たちの教育の支援に使われる。現金の寄進は誰でもいつでもできる。月に1万ルピア(約100円)、あるいは5万ルピアの寄進でもよい。

 現金寄進の社会普及を図る中で、BWIは現金寄進の管理者たちとの会合を持った。BWIの副議長ムスタファ・エドウィン・ナスティオン氏は、この会合は現金寄進の管理者たちがその資金を預金先としてシャリア金融機関(訳注2)に預け、シャリア商品(訳注3)を通じて有効利用するよう指導するためのものだと語った。

 同氏によると、BWI は寄進の管理者たちが資産の運営面でマネジメント能力と専門性を高めることを望んでいる。この生産的な寄進の時代に、管理者は寄進資産の運用の面で考えを変え、ボールを待つことから拾いに行くことへ変化する時になっている。寄進をお願いすることから、パートナーへといざなう方へ変わるのだ。

 このような原則を採用している管理者たちもいる。しかし、まだ〔採用していない〕管理者たちもいる。この会合で現金寄進の管理と有効利用に関して見解の統一が生まれると同氏は語った。


訳注
1) 寄進: 原語はワカフ。宗教税の性格を持つザカート(喜捨)と違い、信者の自発的な意思によって寄進された土地や金品を言う。本記事では現金による寄進が主題。
2) シャリア金融機関: イスラーム法に則って業務を行なう金融機関
3) シャリア商品: イスラーム法に則った金融商品


(翻訳者:山本肇)
(記事ID:so1011301hy)

原題:Sosialisasi Wakaf Uang Masih Minim
http://koran.republika.co.id/koran/14/124091/Sosialisasi_Wakaf_Uang_Masih_Minim


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