インドネシア語新聞翻訳
2010年10月14日(木)
【レプブリカ紙】


宗教的価値観が薄れゆくのをとどめる

 スリブ諸島(訳注1)の観光の伸長は住民の収入を増やしてきた。しかし、土地の一部の人々は、特に道徳的価値観の変化と〔異宗教の〕信徒間の融和の問題に関して心配を抱いている。少なくとも、このことはアブドゥル・ハキム氏の話から窺える。

 スリブ諸島県の信徒間融和フォーラムの議長であるハキム氏は、ある特定の宗教の〔布教〕活動が人々を悩ませている、との報告をかつて受けたことを明らかにした。もっとも彼らが訪れている場所は〔モスクなどの〕宗教的な場所ではなく観光地ではあるが。

 これまで長い間信奉されてきた価値観にも変化が見られる。「以前、人々は白人風の装いをすることをタブーとしてきたが、今は違う」とティドゥン島の有力者トイブ・シャハプトラ氏は、10月13日(水)スリブ諸島の観光と宗教的価値観に関する対話の中で述べた。

 過去、特にこの島が観光客との接触がなく、島人たちの宗教的雰囲気が有名だった頃と比較すると、スリブ諸島周辺の島々の宗教的な環境は、はるか昔のこととなっている。ゆっくりと、しかし確実に、土地の規範と宗教的価値観の変化が進んでいる。

 住民は、上半身も脚も服装がすべてミニスタイルの光景をしばしば目にしている。服装に関してだけではなく、騒音も静かな人々の雰囲気を乱している。「観光客は度々宗教的価値観や土地の文化に反した行為をする」とトイブ氏は語った。

 同氏は、人々が沈黙を守ることなく、ティドゥン島のモラルを守るために住民が共同参加することが必要だと訴えている。なぜなら、その住民参加こそが若い世代とティドゥン島の環境をモラルの堕落から守るからだ。もちろん、観光資源自体をないがしろにすることなしに、だ。

 彼は、観光客の来訪がスリブ諸島の人々の経済的繁栄を高めたことを認めている。南スリブ諸島郡長のサトリアディ氏は、各週末のルピアの流れは6億ルピアに達していると述べた。「観光がこのまま続き、宗教的価値も堅持できるような解決が必要だ」と彼は語った。

 ティドゥン島住民のイスラーム的なアイデンティティを守るための住民共同参加を確立することについて、スリブ諸島県のインドネシア・ウラマ評議会のラハマト・シャムスディン議長は、土地の住民が一緒になってイスラームの諸価値を守ることを要請した。観光に問題があるのではなく、宗教的価値観を守り通すことが大切なのだ。

 宗教省の地方事務所長のスタミ氏は、ティドゥン島の住民の価値観の変化に対し、あらゆる方面〔の官公庁や団体〕が関心を持つべきだと考えている。もしも気をつけていなかったならば、この先2、3年で状況は一層悪くなる。収入増は精神的な質と釣り合うべきものだ。

 同氏は、スリブ諸島、特にティドゥン島の宗教的意識を指導育成してゆかねばならないと語り、政府はティドゥン島の宗教的な特徴を守るためにさまざまな戦略的措置を取るだろう、と述べた。特に、時に個人主義的態度を生みがちな観光の〔悪〕影響を避けるために。

 また、宗教的価値観を堅持することなしに観光が発展すると、住民はしばしば規則に反する行為をするようになる。「宗教の指導育成を集中的に行なう必要がある」と彼は語った。


訳注1) スリブ諸島: ジャカルタの沖合約50kmにある大小多数の島からなる諸島。多くがサンゴ礁からなっており近年マリンリゾートとして栄えている。日本ではプロウスリブとして知られている。後に出てくるティドゥン島はその中のひとつ。


(翻訳者:山本肇)
(記事ID:so1010141hy)

原題:Meredam Lunturnya Nilai Agama
http://koran.republika.co.id/koran/14/120971/Meredam_Lunturnya_Nilai_Agama


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