インドネシア語新聞翻訳
2010年1月8日(金)
【レプブリカ紙】


調査〔結果〕:改革主義がモスクに侵入

【ジャカルタ】
 シャリフ・ヒダヤトゥッラー・国立イスラーム大学の宗教・文化研究センター(以下CSRC)が行なった調査によれば、イスラーム改革主義団体がイデオロギーの伝道手段として、様々なレベルで〔中部ジャワ州〕ソロのモスクを利用していることが明らかになった。

 「この調査はソロにある10軒のモスクを対象に行なわれた」木曜日(1月7日)在ソロ・モスクのイデオロギーに関するマッピング調査の結果の説明時にジャカルタで、CSRCの調査員であるイルファン・アブ・バカル氏はそのように述べた。

 同氏によれば、今回の調査は前回の調査、つまり在ジャカルタ・モスクのイデオロギーに関するマッピング〔調査〕が背景となっている。ジャカルタの調査結果は喜ばしいものだった。改革主義イデオロギーを持つモスクは、ジャカルタのモスクのたった10%だったからだ。

 同氏によれば、これはジャカルタのモスクの大部分が穏健派の思想を持つことを意味するという。一方、ソロではイスラーム改革主義が確実に浸透しており、周辺の他のモスクに影響を与える可能性もある。一般に、イスラーム改革主義運動はすでにモスクに侵入してきているといえる。

 また、モスクは改革主義思想の伝道手段としても利用されている。ソロの調査に関連して同氏は次のように述べた。CSRCチームはソロの10軒のモスクを対象とした調査において、定性的なメソッドを利用した。

 その10軒のモスクにはイスラーム大社会組織の傘下にあるモスクと分類される、コッタバラット・モスク(ムハマディア《訳注1》)とアル・フィルダウス・モスク(ナフダトゥル・ウラマ《訳注2》)がある。そしてアル・イスラーム・グムック・モスクとアル・カーフィ・ヒダヤトゥルッラー・モスクがある。

 〔後者の〕2軒のモスクは、スラカルタのイスラーム防衛戦線(訳注3)やヒダヤトゥッラー(訳注4)と提携がある。そして教育環境にある国立3月11日大学キャンパスのヌルル・フダ・モスクとプサントレン・ジャムサレン・モスクだ。

 また、異種混交の、つまり非イスラーム教徒や異種族の社会の中にある、アル・ムッタキン・モスクやアル・ヒクマー・モスクもある。そして、政府統括のアグン・モスクやラウェヤン・大モスクがある。同氏によれば、調査対象者はモスクの管理者や教師だという。  同氏はさらに述べた。調査の結果に基づけば、改革主義〔レベル〕の高いイデオロギーはアル・イスラーム・グムック・モスクとアル・カーフィ・ヒダヤトゥッラー・モスクに見られる。しかし、異種混交の環境にあるアル・ムッタキン・モスクでも驚くべき結果が見られた。

 同氏の説明によれば、そのアル・ムッタキン・モスクでは改革主義のレベルが極めて高いことが明らかになったという。一方、国立3月11日大学キャンパスのヌルル・フダ・モスク、プサントレン・ジャムサレン・モスク、アル・ヒクマー・モスクでは、改革主義のレベルはそれより低い。

 一方、イスラーム大社会組織が管理者であるか、あるいはその組織と提携がある、コッタバラット・モスクやアル・フィルダウス・モスクは、さらに穏健派だ。政府統括のアグン・ソロ・モスクやラウェヤン・大モスクも同様だ。

 同氏は述べた。問題となっているのは、穏健派団体がイスラーム改革主義に目を向けている団体の感情を害したくないために、[イスラーム改革主義団体との]対話をあまり進展させないことだ。「聖戦は〔必ずしも〕『戦うべき』ことを意味しないが、テロリズムを非難することはない、と彼らは講話で述べている」

 同氏はさらに付け加えた。この調査で使用されているイスラーム改革主義という用語は、コーランとハディース(訳注5)の教義を寛容にではなく完全に行ない、イスラームのために徹底的に闘い、イスラームのカリフ(訳注6)の地位を確立する意味で使われている。

 また、ソロが調査の場所として選ばれたのは、その町がイスラーム改革主義の中心であり、影響を受けやすく、挑発されやすいと類型される社会を持ち、ヌルディン・M・トップ(訳注6)が死亡した場所であるという見解が背景となっていると、同氏が説明した。

 シャリフ・ヒダヤトゥッラー・国立イスラーム大学のコマルディン・ヒダヤット学長は次のように述べた。モスクはイスラーム教徒の所有するものであり、閉鎖的に区分されるべきではない。「イスラーム改革主義団体がモスクを伝道手段として利用するならば、それは恐らく事務所を借りる資金がないからだろう」と同学長はジョークを交えて述べた。 【c12,ed:ferry記者】


訳注
1) ムハマディア: 改革派イスラーム団体
2) ナフダトゥル・ウラマ: インドネシアの伝統主義的イスラーム組織
3) イスラーム防衛戦線: インドネシアで最も危険なイスラム原理主義グループとして知られる。ハビブ・リズィク・シハブを代表者とし、インドネシア版プレイボーイの出版社を襲撃して廃刊に追い込むなどの活動を行なった。
4) ヒダヤトゥッラー: 全国喜捨募集組織の一つ
5) ハディース: 預言者ムハンマドの言行録
6) カリフ: 元々は預言者ムハンマドが亡くなったあと彼の後継者を意味していたが、その後イスラーム国家の元首の称号としても使われるようになった。
7) ヌルディン・M・トップ: 2003年以降にインドネシアで続いた爆弾テロの首謀者として指名手配されており、2009年7月の爆弾テロのほか、2003年のジャカルタのホテルやオーストラリア大使館の爆破事件、2005年のバリ島での爆弾テロの首謀者ともされていた。2009年9月に国家警察との銃撃戦の末、射殺される。

(翻訳者:川名桂子)
(記事ID:so1001081kk)

原題:Penelitian: Radikalisme Masuki Masjid
http://koran.republika.co.id/koran/14/100781/Penelitian_Radikalisme_Masuki_Masjid



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