インドネシア語新聞翻訳
2009年9月19日(土)
【メディア・インドネシア紙】


〔テロの主犯が死んでも〕テロリズムは死なない

 インドネシア警察本部バンバン・ヘンダルソ・ダヌリ長官が、この9年間捜索を続けていたヌルディン・M・トップが中部ジャワ州ソロでの手入れの際に死亡した、と発表したときインドネシアの人々は喜んだ。長官が記者会見でヌルディンの死を公表したとき記者たちは拍手した。

 しかし、われわれは単純に喜ぶわけにはゆかない。マレーシア国籍のヌルディンの死で、インドネシアでのテロリズムが死んだと見なすなら大きな間違いだ。そのため警戒は絶対に緩めてはならない。

 ヌルディンは、9年間インドネシアを放浪していた間に、彼のリーダーシップの下で独自のテロリズムのネットワークを作りあげている、と情報筋では推測している。何人かの爆弾の専門家がすでに養成されており、彼らがヌルディンの暴力イデオロギーを継承する可能性は非常に高い。

 ヌルディンの死は彼のネットワークの機能に確かに影響を与えている。しかし、彼らが一つにまとまるのに長い時間はかからないであろう。

 ヌルディンはそのカリスマ性の点で余人に代わられることはないだろう。しかし、指名手配中の人物シャイフディンン・ジャエラニがいることを思い出してほしい。彼は大きな影響力を持っていることで知られており、2ヶ月前〔7月17日〕に起きたジャカルタのリッツ・カールトン・ホテルとJW・マリオット爆破事件の自爆犯は、ジャエラニに口説き落とされた若者だ。

 そのほかテロリズムは、実際のところ不公平な、そして貧困な社会の中にその芽を持っている。人々は、不公平を押し付ける権力に言われるままで、自分たちが生きる道を決める際の選択を失っている。彼らにはフラストレーションがたまっている。

 世界的なテロリズムは実際、多くの民族および国が、自分自身のために自由に政治的決定を行えなくなっていることから起こっている。米国はテロリズムを助長している権力として、名指しで多くの非難を浴びている。

 実際には、人々のテロリズムに対する感情は微妙だ。例えば、従順で良い子がテロリストに変わることがありうるのだ。もしわれわれが彼の考えは全て間違っていると言い、彼が話そうとすれば黙れと怒鳴りつけ、彼が抵抗しようとすれば平手打ちをし、彼が倒れれば踏みつけるならば、彼は立ち上がり爆弾を探すだろう。

 これはいかに不公平や暴力がテロリズムにとっての温床になるかの具体例だ。不公平がますます広がっているために、今日テロリズムは新しい世界戦争とみなされている。インドネシアのテロリズムはヌルディン・トップ一人を消したからといってなくなりはしない。

 ヌルディン・トップを消したことで警察が喜ぶのは構わない。われわれは警察が行ったことを賞賛するし、〔この一件は〕国を評価するのにふさわしい。しかし、油断してはならない。テロリズムは簡単には死なないからだ。


(翻訳者:山本肇)
(記事ID:so0909193hy)

原題:Terorisme Tidak Mati
http://anax1a.pressmart.net/mediaindonesia/MI/MI/2009/09/19/ArticleHtmls/19_09_2009_001_009.shtml?Mode=0



ISEA インドネシア語新聞翻訳 TOPへ

ISEA TOPへ