インドネシア語新聞翻訳
2009年9月16日(水)
【レプブリカ紙】


今年はイドゥル・フィトリが一致

【ジャカルタ】
 イスラーム暦(訳注1)1430年のイドゥル・フィトリ(訳注2)は日曜日(9月20日)になることがほぼ確実だ。公式な決定は、土曜日(9月19日)に政府とイスラーム諸組織の間で開催されるイツバット会議(訳注3)を待つばかりだが、今年はルバラン(訳注4)の祭日は〔例年は対立している2つのイスラーム団体の見解が〕一致すると確信している関係者もいる。

〔ムハマディアの見解〕
 ムハマディア(訳注5)中央指導部は、〔断食を開始する〕ラマダーン月(訳注6)1日、〔断食が終わる翌日にあたる〕イスラーム暦10月1日、そして〔ハジと呼ばれるメッカ巡礼が行われる月の初日である〕12月1日の決定(訳注7)についての、西暦2009年7月23日付けの告知 06/MLM/I.0/E/2009号を通じて、イスラーム暦1430年10月1日が日曜日(9月20日)になると表明した。ムハマディア中央指導部の法学および改革審議会のヒサブ(訳注8)の計算結果に基づけば、イスラーム暦1430年の10月を迎えるイジュティマッ(訳注9)は、土曜日(9月19日)西部インドネシア時間(訳注10)の午前1時45分に起こる。

〔ナフダトゥル・ウラマの見解〕
 現在日没時の新月の高さ(訳注11)は5.48度で、すなわち既に新月が姿を現す状態となっており、イスラーム暦1430年の10月1日は西暦2009年9月20日になる。東ジャワ州のナフダトゥル・ウラマ(訳注12)地域幹部(以下PWNU)もイスラーム暦1430年のイドゥル・フィトリは日曜日(9月20日)になると予測している。

 「新月の高さが5度から8度に及ぶと、イムカヌル・ルクヤト(訳注13)に基づく新月出現の範囲内であるため、そのように予測される」と東ジャワ州PWNUのルクヤト・チーム調整役であるショレー・ハヤット師は述べ、このことはアンタラ通信社も掲載している。しかし東ジャワ州 PWNUは、今後もなお9ヵ所に新月のルクヤト・チームを設置するつもりだ。

〔天文学者の見解〕
 イスラーム暦1430年10月1日がこの日曜日(9月20日)になる確率が高いことは、天文学・天体物理学主任研究員で応用科学・大気環境センター長であるトーマス・ジャマルディン博士も言明している。天体観測に基づくと、土曜日(9月19日)の新月の位置は既に4度を超えるだろうと同博士は述べた。同博士によれば、〔この時〕太陽と月の方位角の差は非常に大きく(訳注14)、約6度になるという。

 「その結果、イスラーム暦10月1日は日曜日(9月20日)になるに違いない。ヒサブ〔計算〕とルクヤト〔目視〕どちら〔の方法〕に基づいても、我々は9月19日に数ヵ所で新月を見ることができる」と火曜日(9月15日)に同博士は本紙に対して述べた。

 同博士は次のように述べた。実際には宗教省のカレンダーでもイスラーム暦10月1日は日曜日(9月20日)だ。しかし同博士によれば、〔ルバランが〕日曜日に重なると、ルバランの祭日は通常〔振替休日として〕その1日後にずれる。「そのため新月の決定問題からではなく、ルバランの休日のずれが生じることから、社会の人々の間にイドゥル・フィトリの祭日の認識のずれが起こる(訳注15)」

 「私は人々に20日はもう断食はしないように注意を促した。〔20日が〕イスラーム暦10月1日になるということは、19日には断食が終わることを意味するからだ」とし、同博士はさらにきっぱりと述べた。ヒサブとルクヤトどちらの新月の観測という面からも、今年は〔イドゥル・フィトリが〕一致するに違いない。〔新月の〕観測は4度以上で行なわれるからだ。さらに西ジャワ州では、6度に達すると新月はさらに大きく見える。

 同博士によれば、論証という面から見ると、新月の観測には確かに2つ〔の方法〕があるという。つまりヒサブ〔計算〕とルクヤト〔目視〕だ。しかし天文学という面からは、むしろヒサブあるいはルクヤトによる観測は互いに補完し合う。特に現在はヒサブによる観測の方が正確だという。一方、ルクヤトではさらに仔細な観測をすることが可能になる。

〔政府の見解〕
 インドネシア・ウラマ評議会(略称MUI、訳注16)も、イスラーム暦1430年のイドゥル・フィトリは〔2つの確定方法で〕一致すると確信している。「イドゥル・フィトリは日曜日(9月20日)で一致する可能性が高い」インドネシア・ウラマ評議会のマ・ルフ・アミン会長はそう述べた。同会長によれば、土曜日(9月19日)夜の新月の高さは3-5度に達するという。

 「新月の高さが2度以上ならば、皆が相違なく日曜日をイドゥル・フィトリの日と決定することだろう」と同会長は述べた。同会長によれば、新月の高さがまだおよそ2度以下ならば、そのことは相違する余地があるという。しかし、インドネシア・ウラマ評議会は今後もなお政府のイツバット会議の決定を待っている。

 一方政府は、ムハマディアが日曜日(9月20日)をイスラーム暦1430年の10月1日と確信していることを尊重した。マフトゥー・バシュニ宗教大臣は次のように述べた。政府もイドゥル・フィトリが2009年9月20日になると予測している。
【kie/osa/ant記者】


訳注
1) イスラーム暦: ヒジュラ暦とも言う。預言者ムハマンドがメッカからメディナに移住した622年を紀元とする。月の運行を基本とする太陰暦で1年が太陽暦より11日短い。
2) イドゥル・フィトリ: 断食月明けの日、すなわちイスラーム暦10月1日
3) イツバット会議:断食が始まるイスラーム暦9月1日および断食明けの10月1日を決めるための法定会議。宗教省の主宰で主要イスラーム組織、ヒサブとルクヤトの委員などが出席する。
4) ルバラン: 断食月明けの大祭。イスラーム暦の10月1日
5) ムハマディア: 改革派イスラーム団体
6) ラマダーン月: イスラーム暦9月、断食月。この一ヶ月間、日の出から日没までの間、イスラーム教徒は食物・飲物を一切口にしない。病人、高齢者、子ども、生理中の女性、旅行者など断食を免除される人もいるが、規定に従って断食を行わなかった日数分、別の期間に断食を行う場合もある。
7) すなわち、各月の特定がイスラーム教徒にとって行うべき六信五行である断食とメッカ巡礼に深く関係している。
8) ヒサブ:「計算、算術」のこと。ここでは、月と太陽の位置関係を算出することを意味する。
9) イジュティマッ: イスラーム暦のある月の終わりと次の月の始まり。このとき月と太陽は同じ方向に位置する
10) 西部インドネシア時間: インドネシア時間は、西部インドネシア時間(日本時間−2時間)、中部インドネシア時間(日本時間−1時間)、東部インドネシア時間(日本時間と同じ)に分かれている。首都ジャカルタは、このうち西部インドネシア時間に属す。 11) 新月の高さ:新月は太陽と同じ方向にあるため、太陽とほぼ同じ時間に上がり、ほぼ同じ時間に沈む。ここで月の高さと言っているのは太陽が沈んだときに新月が位置している高さの対地平角度のこと。
12) ナフダトゥル・ウラマ: インドネシアの伝統主義的イスラーム組織
13) ルクヤト: ルクヤトとは、目視で月齢を確認すること。イスラーム法の規定により毎月の開始は新月を目で見て決めなければならないが、空が曇っていて見えない場合は1ヶ月の日数が29日または30日と定められていることをベースとしてヒサブ(計算)によって決める。イムカヌル・ルクヤトとは、ブルネイ・インドネシア・マレーシア・シンガポール宗教問題イスラーム会議(MABIMS)によって定められたルクヤトの基準・方法のこと。
14) この差が大きい方が、新月が見えやすいと考えられる。
15) つまり、日曜日から1日ずらした9月21日(月曜日)にルバランを祝うため、このことによって人々は、お祭りの前日である20日までラマダーン月が続いている、と勘違いしてしまうということ。
16) インドネシア・ウラマ評議会: 宗教学者が様々な問題に対し、イスラーム法に基づいた見解を示す官製のイスラーム法学組織


(翻訳者:川名桂子)
(記事ID:so0909161kk)

原題:Tahun ini, tak Ada Perbedaan Idul Fitri
http://www.republika.co.id/koran/14/76780/Tahun_ini_tak_Ada_Perbedaan_Idul_Fitri



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