インドネシア語新聞翻訳
2009年6月3日(水)
【メディア・インドネシア紙】


アフマディアのモスク、何者かに放火される

 信徒8人が夜明けのお祈りをあげている最中に、二人の不審者がモスクの建物に入り、1階にガソリンを撒いた。5リットル入りのポリ容器に入っていたガソリンの半分が撒かれ、一人が火をつけた。ポリ容器を持っていた者は、まだガソリンを半分残したままポリ容器を放置し、二人は姿をくらました。

 チプタット・ラヤ通りにあるこのモスクの2階で礼拝していた信徒たちは、直ちに1階に降り消火に当たった。しかし、倉庫とその中に入っていた自転車、椅子、玄関マットが焼けてしまった。「われわれはガソリンがまだ残っているボリ容器を押さえた」とクバヨラン・ラマ分署長であるマクムール・シンボラン警部は現場で述べた。

 現場にはマクムール警部と彼の部下だけではなく、南ジャカルタ分署長のフィルマン・サンチャブディ警視、ジャカルタ首都圏警察国家治安チーム、およびインドネシア警察科学捜査研究所のチームも数時間あとに到着した。

 先ほど礼拝していた8人の信徒のうち5人が捜査官に状況説明を行った。

 放火事件ではあるが、マクムール警部はこの件を破壊活動とは想定していない。「テレビのメディアは破壊活動だと報じている。しかし、われわれは科学捜査研究所チームの調査結果に従う」とフィルマン警視は漏らした。

 この元デポックの分署長は、科学捜査チームが残されたポリ容器と現場で見つかった指紋を検査することによって、実行犯が明らかになるだろうと期待している。

 モスクの管理人ムハンマド・イドリス氏は、この火災が起きたとき礼拝の導師をしていたと述べた。「この放火の動機が何かは分からない。2002年に建てられたこのモスクが頑丈で、火災で大事に至らなかったことは幸いだ」と語った。

 マクムール警部によると、ガソリンを撒いた者も火をつけた者もマスクをつけていたため、人物の特定が難しいとのことだ。警察は土地の住民を疑っていないが、この地区から情報を集めることになるだろう。

 「周辺の住民とアフマディア教団(訳注1)の信者とは仲良く暮らしている。この地区の治安状況は良好で、互いに誤解が生じることはない」と警部は説明した。

 現場でのメディア・インドネシアの取材によると、アス・シャディヤー・モスクはコンクリートで作られているため、今でもしっかりと立っている。奥の部分の2階の2つの窓が火災のため黒く見えるだけだ。モスクの外側と1階は焼けずにしっかり残っている。

 政府はアフマディアの存在に関して共同決定書(訳注2)をすでに出している。宗教大臣、内務大臣、最高検察庁長官によるこの共同決定書の要点は、アフマディアの信者に対してイスラームの教えに反する活動を禁じていることだ。

 インドネシア・ウラマ評議会の信徒間融和委員会議長のスラメット・エフェンディ・ユスフ氏は、この火災のケースは宗教生活において良識がなくなったことを反映しているとの意見だ。

 彼は警察がこの事件を捜査し、実行犯を現行の法律に照らして罰することを要請している。

 スタラ調査研究所のヘンダルディ所長は、報道番組の中でモスクの放火はこれまでさまざまな場所で繰り返し行われてきた犯罪行為だと述べた。

 治安当局がモスクの放火に真剣に取り組んでこなかったため、実行犯たちはモスクの襲撃・破壊、およびアフマディアの信者に対する暴力行為を活発化してきた。「われわれは信仰の場への放火を強く非難する。法治国家において放火行為を正当化するいかなる理由もない」と彼は明言した。  ヘンダルディ所長は、犯人たちの行為は国が宗教の名における暴力行為に対してはっきりした態度を示さず、徹底的に捜査しなかった結果起きたことだと考えている。

 信仰・信心の自由に関してスタラ調査研究所が2007年と2008年に発行した二つの報告書では、寛容性のないピューリタン(訳注3)のグループによる暴力行為に対して国は無力だと述べられている。破壊活動は伝染を続けており、ますます拡大している。


訳注
1) アフマディア教団: 1889年インドのパンジャブ地方で生まれたイスラーム教の一派であるが、ムハマンドを最後の預言者とせず、教団創設者のミルザ・グラーム・アフマドを最後の預言者としているためイスラームの正統派からは異端とみなされている。(詳しくは2008年06月掲載記事「アフマディアの活動、禁止される」を参照。)
2) 共同決定書: 詳しくは2008年06月掲載記事「アフマディアに関する共同決定書の内容」を参照。
3) ピューリタン: 一般にはプロテスタントの一派である清教徒を指すが、ここでは教義に厳格な、あるいは原理主義的なという意味で使われていると考えられる。



(翻訳者:山本肇)

(記事ID:so0906033hy)

原題:Masjid Ahmadiyah Dibakar Orang Misterius
http://anax1a.pressmart.net/mediaindonesia/MI/MI/2009/06/03/ArticleHtmls/03_06_2009_005_001.shtml?Mode=0



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