インドネシア語新聞翻訳
2009年5月16日(日)
【レプブリカ紙】


巨大なコーランの一般公開

【パレンバン】
 南スラウェシ州パレンバン市のイスラーム教徒は、全世界で最も大きい木彫りのムシャフ(訳注1)・コーランを持っている。そのテンバサ(訳注2)材から作られたイスラーム教徒にとっての巨大で神聖な宗教書は、アル・アクバル・コーランと名付けられた。(1片の)長さが177cm、幅144cm、厚さ2.5cmのそのコーランは、パレンバンのスルタン・ムハンマド・バダルディン2世大モスクで、昨日の金曜日(5月15日)から一般に向けて展示が開始された。

 そのアル・アクバル・ムシャフ・コーランは、制作に7年の月日がかかっており、およそ20名の彫刻家が関与した。制作指導者のソフワティッラー・モーザイブ氏によれば、その30巻(訳注3)のムシャフ・コーランの制作は、イスラーム暦1422年のラマダーン(訳注4)時(西暦2001月11月頃)から構想されていたという。そのコーランには、50立法メートルのテンバサ材が使用されている。

 630頁からなるそのコーランには、315枚の木の板が使われた。「このコーランの制作構想は、大モスクのアーチの文字の設置時に始まっていた。最初の木片は、イスラーム暦1423年1月1日(西暦2002年3月15日に相当)に展示された。おかげで現在完成し、一般公開の準備が整った」

 そのコーランの一般公開は、インドネシア大統領によりオープニングが行われる計画だったが、正式な公開の前に内容を修正できるよう、一般向けの展示が先行された。同氏によれば、そのコーランの内容と文字は、パレンバンのイスラーム学者とコーラン暗誦者チームにより、修正されているところだという。

 同氏によれば、コーラン制作委員会は、5月24日まで、イスラーム宗教学者とコーラン暗誦者たちに、1-15巻の木彫りコーランの内容と文字を修正する期間を与えるという。「一方、16-30巻の修正には、6月5日までの期間を与える」

 制作委員会は、もし間違った文字が見出された場合に備えて、イスラーム学者とコーラン暗誦者が記入するためのブランクシートを特別に用意した。そのコーランの制作には、10億ルピア(約9,100万円)を超える費用を要し、その資金は33の寄贈者から集められたという。

 「全ての寄付金は、支出も含め、アル・アクバル・コーラン制作委員会が管理する」その木彫りのムシャフ・コーラン・プロジェクトには、資金問題以外に、テンバサ材を探すのに十分に長い時間がかかるという問題があった。木材価格の急騰も、その作業を少し遅れせる原因となった。

 アル・アクバル・コーランは、アンペラ橋で知られるその町の様々な階層の人々から歓迎された。

 南スラウェシ州の宗教省地域事務所のナジブ・ハイタニ所長は、アル・アクバル・コーランは南スラウェシ州のイスラーム教徒の誇りだと述べた。

 同所長によれば、その巨大なコーランは世界初のコーランとして登録された。そのコーランの存在により、(この町が)南スラウェシ州の宗教的な観光スポットとして、中東地域まで広がる様々なイスラーム諸国からの観光客の関心を引くようになることを、同所長は期待する。

 「このコーランの存在により、社会の人々がコーランの内容に対する理解を深め、日常生活にそれを適用する動機になることも期待する。制作委員会、寄贈者そしてイスラーム学者の方々に感謝すると同時に、お礼を申し上げたい」そのコーランのお披露目式において、同所長はそのように述べた。

 式には同所長の他、インドネシア共和国地方代議院メンバーであるアスマワティ女史、パレンバン地方議会副議長のジャウハリ氏、バニュアシン副県知事、大モスク財団議長が出席し、数人の国の要人や招待客も招かれていた。


訳注
1) ムシャフ: コーランの一部で手書きされた箇所
2) テンバサ: マチン科の高木。熱帯地域で緑陰樹として植えられる。
3) 30巻: コーランは114章から成っているが「章」とは別に読誦するときに一度に読む目安となる分量を基準として全体を30に分割している。その分割された一つのことで、原文ではjuz(ジュズ)となっているがここでは「巻」とした。
4) ラマダーン: イスラーム暦9月 断食月


(翻訳者:川名桂子)
(記事ID:so0905161kk)

原題:Alquran Raksasa Diluncurkan
http://www.republika.co.id/koran/14/50671/Alquran_Raksasa_Diluncurkan



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