インドネシア語新聞翻訳
2009年4月9日(木)
【レプブリカ紙】


インドネシアのワカフに豊かな将来性

【ジャカルタ】
 インドネシアのワカフ(訳注1)の将来性は非常に大きい。インドネシア・ワカフ本部(BWI)は東南アジア地域のワカフ運動の中心になる可能性を持っているとイスラーム開発銀行(IDB)アッハメド・モハメッド・アリ総裁が述べたのは驚くにあたらない。IDBはBWIがワカフ銀行を、特にアセアン地域の国々のために設立することを提案した。

 IDB総裁がこのように表明したのは先月中旬にBWIの経営陣の訪問を受けた時のことだ。BWIの広報部長マシクリ・アブディラー氏によると、BWIはインドネシアにおけるワカフの可能性を掘り起こし、その運営のレベルアップを図るために3月15−22日にいくつかの国を訪問した。

 「インドネシアのイスラーム教徒のワカフに対する意識は実際非常に高い」とマシクリ氏は8日(水)本紙に対し語った。2007年10月の宗教省の資料によると、インドネシアにおいてワカフされた土地は366,595箇所におよび、同氏によるとその面積は26億8千万平方米に達している。

 しかし、残念なことに、ワカフされた土地の大部分は非生産的な土地で、社会の経済変革に貢献するところが少ない。そして、現在インドネシアにおいてワカフ事業を伸ばす上で大きな問題が3つあると彼は語っている。一つは、ワカフされる土地は信仰上のお勤めをする場所あるいは墓所に利用されるためとの考えがまだ一般的で、生産的に開発されておらず、経済的価値に乏しいことだ。

 「二つ目は、ワカフの運営能力がまだ非常に限られていることだ。そのほか、われわれはワカフを生産的にするための投資資金の不足という問題にも直面している。」とナフダトゥル・ウラマ(訳注2)本部役員会議長の職にもあるマシクリ氏は語った。ワカフされた土地の可能性を引き出すための投資資金不足を解決するために、インドネシア・ワカフ本部(BWI)は外国のいくつかのワカフ機関との提携を模索している。

 同氏によると、BWIはイスラーム開発銀行(IDB)、カタール、およびクウェートへの訪問において既にいくつかの合意に達している。「カタールのワカフ本部との会合では2件の合意に達した。即ち情報技術に基づいた管理分野の専門家の派遣と、情報技術に基づく管理分野の人材の訓練に関してだ」と同氏は述べた。

 BWIはカタールのワカフ本部の運営システムを見習う必要がある。そこではワカフの運営はすでにオンライン化されていると同氏は説明した。そのほか、BWIはクウェート・ワカフ財団(KAPF)とワカフ事業における専門家、特に生産的なワカフ情報技術分野の専門家の訓練に関して合意に達したと彼は述べた。

 「KAPFはクウェートでワカフ運営について学びたいと考えているインドネシアの学生に対し、奨学金を申し出ている」と彼は語った。BWIのムハマド・トルチャ・ハサン総裁はジャム・イヤー・イフヤ・トゥラッツ(JIT)(訳注3)とも会合を持ち、生産的なワカフ、特に農業分野のワカフの発展の援助について合意したと付け加えた。

 一方、イスラーム開発銀行(IDB)への訪問でも、BWIはいくつかの合意を結ぶことに成功した。その一つがワカフ運営に関する国際セミナーをインドネシアで開催すること、およびインドネシアにおけるモデルとしてワカフ投資を行うことだと同総裁は語った。

 「共同事業の申し出に対し、IDBはスラン、バンテンに母親と子供のための病院を、タマン・ミニに国際病院を、ワカフを利用して建てることを検討している」とトルチャ総裁は漏らした。彼はこの共同事業を近々具体化させる予定だと述べており、IDB側ではBWIとの合意は来る7月に実行されるだろうと表明している。

 今日まで、BWIは生産的な土地として利用されるワカフと、非生産的なワカフとにデータを分けていない。「そのためには、BWIはメディアやセミナーを通じて、生産的なワカフに関する周知を図る」とマシクリ氏は付け足した。BWIは現在公共広告と宗教講話をパッケージにしたテレビ番組を一つ用意しているところだ。

 同氏によると、BWIと宗教省は昨年約40人の全インドネシアからの喜捨の管理者を研修した。「今年も研修を展開する予定で、地方のBWI事務所に手伝ってもらうことを期待している」と彼は述べた。この研修によりワカフされた土地がより生産的に発展し、運営されることが期待されている。

 今年の前半にBWIはジャカルタ、西ジャワ、中部ジャワ、バタム、リアウ、東ジャワ、ゴロンタロの各州に地方事務所をおくことを目標としている。地方事務所があることによって、地方のワカフ運営者がワカフに関する研修を受けにはるばるジャカルタまで来る必要がなくなる。


訳注
1) ワカフ: イスラーム法上の無償行為のひとつ。不動産の所有者がその不動産を病院やモスク建設のために寄進したり、その不動産の賃貸であがる収益をイスラームの事前事業に寄進する行為
2) ナフダトゥル・ウラマ: 伝統主義的イスラーム組織
3) JIT: クウェートのワカフ組織のひとつ


(翻訳者:山本肇)
(記事ID:so0904091hy)

原題:Potensi Wakaf di Indonesia Sangat Besar
http://www.republika.co.id/koran/14/42939/Potensi_Wakaf_di_Indonesia_Sangat_Besar



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