インドネシア語新聞翻訳
2009年3月17日(火)
【レプブリカ紙】


インドネシアは点字訳コーラン不足に悩む

【ジャカルタ】
 インドネシアの視覚障害者にとって、点字訳コーランを入手する手段は、まだ非常に限られている。コーランの慈善組織である「コーラン愛の活動」のチュット・プトリ代表によれば、インドネシアの視覚障害者に対して、およそ9万5千セットの点字訳コーランが不足しているという。政府がイスラーム教徒の視覚障害者に対して配慮することを、同組織は期待している。

 「現在、視覚障害者には、少なくとも9万5千セットの点字訳コーランが必要だ」と同代表は本紙に対して述べた。インドネシアには200万人の視覚障害者がいると思われる。「もし点字訳コーランを読める人が5%だけだとしても、10万セットが必要だ」

 インドネシアに流通している点字訳コーランの数は、5千セットに過ぎないという。その数には1978-2000年に印刷された点字訳コーランも含まれる。「必要とされる数には、まだ程遠いということだ」と同代表は述べた。その状況は、視覚障害者たちの信仰に関与するため、非常に憂慮すべきことだと考えられる。

 インドネシアのイスラーム視覚障害者には、いくつかの直面している問題があるという。点字訳コーランは在庫が少ない上に、値段も非常に高くて手が届かない。それ以上に書物や宗教書の店でも滅多に売られていない。

 「普通のムシャフ(訳注1)・コーランならたったの数万ルピアだが、点字訳コーランは1セットあたりおよそ200万ルピア(約17,000円)だ。同代表は心を痛めている。それに加えて点字訳コーランを印刷・出版する会社は多くない。同代表によれば、今まで点字訳コーランの印刷に関わった会社4社のうち、現在でも運営されているのはたったの2社だけだという。

 あとの2社は売上高が少ないために、会社運営のための資金不足ですでに倒産した。その他の問題として、全ての視覚障害者が点字訳コーランが読めるわけではない。「点字が読める者が、点字訳コーランの文字が読めるとは限らない。特別な学習が必要だ」と同代表は呟いた。

 宗教省の点字訳コーランの推敲に対する関心がまだ非常に低いため、同組織は憂慮していると述べた。「点字訳コーランの推敲に対して宗教省は関心を払っていないようだ。現在市場に出ているものは、宗教省の推敲機関ではなく、それぞれ(の会社)が推敲を行っている」と同代表は述べた。

 同組織は、宗教省に対して点字訳コーランの推敲の問題について配慮するよう要請した。「なぜなら、点字訳コーランは点からなる。点が1つ間違っていても意味が変わりうる。危険だ」と同代表は明言した。現在点字訳コーランの推敲者の数が非常に少ないことについても、同代表は警告した。

 「点字訳コーランを推敲する次代の指導者が必要だ」と同代表は述べた。点字訳コーランの問題には、インドネシアの全イスラーム教徒の関心が必要だ。「とりわけ点字訳コーランの調達や流通だけでなく、読む訓練においても、視覚障害者にさらに関心を払うことは、政府だけではなく社会の全ての人々の責任でもある」

 中部ジャワのイスラーム教徒視覚障害者協会のエンディ・リスヤント会長は、次のように述べた。点字訳コーランは非常に手に入りにくい。それに加えて値段も非常に高く165万ルピア(約14,000円)もする。「物理的に見ると(通常の)コーラン書は5cmの厚さで重さも1kg以下だが、点字訳コーランは22kgで100cmの厚さだ」とし、同会長はさらに付け加えた。

 点字訳コーランで印刷されるのは(手書きの)アラビア文字だけではなく、点字の点を使って変更された文字だ(からだ)。同会長によれば、点字訳コーランの流通はそれぞれの地域で一律ではないという。例えばソロの視覚障害者は、バニュマス県と比較するとコーランを手に入れやすい。

 政府が点字訳コーランの供給にもっと関心を払い、その数を増やすことを、同協会は希望する。現在中部ジャワで点字訳コーランに関心を払っているのは、サハバット・マタ・コミュニティ(訳注2)という組織だけだという。


訳注
1) ムシャフ: コーランの一部で手書きされた箇所
2) サハバット・マタ・コミュニティ: 視覚障害者のための組織


(翻訳者:川名桂子)
(記事ID:so0903171kk)

原題:Indonesia Kekurangan Alquran Braille
http://www.republika.co.id/koran/14/37871/Indonesia_Kekurangan_Alquran_Braille



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