インドネシア語新聞翻訳
2009年2月14日(土)
【レプブリカ紙】


華人系インドネシア人のイスラーム教徒が増える

  「分割統治」政策によってオランダ植民地政府は、華人をインドネシア社会から巧妙に分断した。それだけではない。植民地支配者たちは華人をイスラーム教からも遠ざけようとした。そして邪悪な宣伝によってイスラーム教に対し、未開、不潔、怠惰、無知、そして過激というイメージを作り上げた。

 オランダ側によって喧伝されたイスラーム教に対するネガティブな烙印は、華人たちをイスラーム教から遠ざけてきていた。しかし、時が経つにつれ、華人の一部の人たちがオランダ側が描いてみせたイスラームの烙印やイメージが真実でないことを実際に確かめるようになった。彼らもイスラームの中に真実を見出したのだ。

 1961年4月14日、アブドゥル・カリム・ウィ・チェン・ヒェン、アブドゥル・ヤ・A・ション、コー・グァン・チンなど、何人かの華人イスラーム教徒がインドネシア・華人イスラーム協会を設立し、後にこの名称をイスラーム教信仰育成会(PITI)に変更した。この団体の目的は、インドネシア人イスラーム教徒と華人系イスラーム教徒および華人たちとの一体化を図ることだ。

 「ありがたいことに、PITIが存在するおかげで、現在華人たちの間でイスラームに対する見方に変化が起きている。」とPITIジャカルタ地区指導部議長であるH シャリフ・シアンガン・タヌジャヤ氏は述べている。シャリフ氏によると、イスラームを信仰する華人の数は、遅々としてはいるが確実に増えてきている。アッラーの神の宗教へと信仰を変える人たちは知識人、企業家、それに経済的に上中流グループの人たちだ。

 インドネシアの華人系イスラーム教徒の信徒としての活動も盛んになってきている。シャリフ氏によると、こんにちインドネシアにはイスラーム教を信奉する華人系住民が80万人いると記録されている。「これはPITIに加入している人の数で、このほかに未加入の信者もいる。」と以前はタン・リップ・シアンと名のっていたシャリフ氏は述べた。

 著名な公証人でもあるシャリフ氏は、イスラームが暴力やテロとは同義ではないという見方が華人社会に広がっているのには、PITIの存在が貢献していると述べた。現在PITIが展開しているイスラームに関する活動は、すでにインドネシアのいくつかの州に広がっている。彼らはモスクを建て、そこでイスラーム勉強会を開き、活発な活動をしている。

 中央ジャカルタ市パッサール・バル地区のラウチェ通りの中国人街にあるラウチェ・モスクは、華人イスラーム教徒の活動が盛んなことの一つの証だ。このモスクでは毎日宗教的活動が行われている。華人社会においてイスラームのイメージが良くなってきているおかげで、彼らの間にイスラーム信仰者が増えており、いつ訪れても、信仰告白の二つの言葉(訳注1)を唱えている華人に出会う。

 イスラームに改宗した者がイスラームをさらにより深く理解するように、ジャカルタのPITIは毎土曜日と日曜日に定期的に勉強会を開いている。そこでは男性も女性も華人系のインドネシア人が講師を勤めている。PITIはまた、ウーワンと呼ばれる「改宗者見守り運動」を組織し、改宗者たちに喜捨の義務を果たすように教えている。そして、この運動は改宗者以外の人たちにも向けられている。中国語で「5万」を意味するウーワンの目的は喜捨・寄付・施し(ZIS)の一部として、いくばくかの拠金を行う旨を用紙に記入してもらうことだ。この拠金は月ごとでも3ヶ月ごとでも半年ごと、あるいは一年ごとでもかまわない。

 「PITIのビジョンは、あらゆる世界にとっての恵みとしてのイスラームを実現することにある」とシャリフ氏は語る。PITIは主要な使命、すなわち華人イスラーム教徒とインドネシア人イスラーム教徒を、華人イスラーム教徒と華人非イスラーム教徒を、そして華人とイスラーム教徒を、それぞれ一体化させる使命に取り組んでいる。イスラームは互いに相手を知ることを信徒たちに教えている。


訳注1) 信仰告白の二つの言葉: 「アッラーの他に神なし」、および「ムハマンドはアッラーの使徒である」


(翻訳者:山本肇)
(記事ID:so0902141hy)

原題:Geliat Muslim Tionghoa di Indonesia
http://www.republika.co.id/koran/14/31500/Geliat_Muslim_Tionghoa_di_Indonesia



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