インドネシア語新聞翻訳
2009年1月30日(金)
【メディア・インドネシア紙】


喫煙をハラムとするファトワは見直しの可能性も

 東ジャワ州のインドネシア・ウラマ・評議会(訳注1、以下MUI)は喫煙をハラム(訳注2)とするファトワ(訳注3)に過剰に反応しないよう人々に要請した。要は、このファトワがまだ最終的な決定ではないということだ。「このファトワは勧告の形をとっただけだ。従ってその結果が見直される可能性は大きい」とアブドゥスソマド・ブコリ東ジャワ州MUI議長は昨日スラバヤで語った。

 ソマド議長は、まだこの勧告の内容の詳細を理解していない段階での人々の反応が過剰だと考えている。

 もっとも、今回のMUIの勧告には二つの規範がある。つまりハラムとマクルー(訳注4)だ。子供と妊婦の喫煙、それに公の場所での喫煙はハラムとしている。しかし成人の喫煙に対してはまだハラムかつマクルーであるとしている。

 ソマド議長は、喫煙に関しこの2つの規範のどちらかを取るのか、あるいはその2つとも取るのかをMUI本部の幹部会での議論で確定させたほうがよいと語っている。

 喫煙に関し2つの規範を勧告しているのは、インドネシアのウラマ(訳注5)の大部分に、この会議に出席した人たちも含め、2種の意見があるからだ。ただし、インドネシアのMUIの全ての幹部にとって喫煙はハラムとなっている。

 MUIの幹部が収集したデータに基づくと、煙草から得られる税収入は全国で年約45兆ルピア(約3800億円)になる。一方で、喫煙による疾病の治療費は年に125兆ルピア(約1兆円)を下らない。この事実から煙草の効用と影響は明らかだ。

 喫煙に関し賛否のファトワが出た西スマトラ州パダンの会合で、東ジャワ州のMUI幹部と代表は、一貫して規範をマクルーとすることを推奨した。これは煙草産業および煙草に東ジャワ州の依存度がまだ高いと判断しているからだ。

 「もし、東ジャワ州のMUIが喫煙に対しハラムを推奨したら、地元の主要経済の利害と相反することになる。しかし、MUI本部が喫煙をハラムとした場合には、東ジャワ州のMUI幹部もその決定に従うだろう」と彼は語った。

 一方、東ジャワ州のトゥマングン県庁は、その土地の煙草農家が煙草に関するMUIのファトワの拒絶について便宜を与えることにした。それは、その地方の経済が煙草に依存していることを考慮してのことだ。

 この便宜供与はトゥマングン県のインドネシア・たばこ農家連盟(APTI)とハシム・アファンディ県知事との昨日の話し合いで決まった。これは県側がMUIのファトワに対処できるよう、利害関係者の足並みと考え方を揃えておくためだ。

 トゥマングンのAPTI事務局長ヌルタンティオ・ウィスヌブラタ氏は、APTIがトゥマングンの労働者連盟およびウラマなど利害関係者と会う便宜を県知事が図ってくれるだろうと語った。


訳注
1) インドネシア・ウラマ評議会: 宗教学者が様々な問題に対し、イスラーム法に基づいた見解を示す官製のイスラーム法学組織
2) ハラム: イスラーム法によって禁止されている行為、摂取物
3) ファトワ: イスラーム法に基づく宗教学者の見解
4) マクルー: イスラーム法によって禁止ではないが望ましくないとされ、忌避すべき行為、摂取物
5) ウラマ: イスラーム教の宗教指導者、法学者


(翻訳者:山本肇)
(記事ID:so0901303hy)

原題:Fatwa Merokok Haram Bisa Direvisi
http://anax1a.pressmart.net/mediaindonesia/MI/MI/2009/01/30/ArticleHtmls/30_01_2009_008_002.shtml?Mode=1



ISEA インドネシア語新聞翻訳 TOPへ

ISEA TOPへ