インドネシア語新聞翻訳
2008年12月19日(金)
【メディア・インドネシア紙】


インドネシア汚職監視機関、2005-2006年のメッカ巡礼汚職疑惑を報告

【ジャカルタ】
 インドネシア汚職監視機関(以下ICW)は、2005-2006年のメッカ巡礼実施に関わる汚職疑惑を国民議会査問機関に報告した。その汚職疑惑には、国民議会第8委員会(訳注1)の有力政党に属すイニシャルSTとSAの2名が関与している。

 「国民議会の議員2名に、出張費という名目で与えた手当に疑いがあるとICWは報告した。彼らの名前や領収書などの証拠は査問機関に提出済みだ」金曜日(12月19日)にジャカルタの国会議事堂で、ICWの監視メンバーであるアデ・イラワン氏は報道陣に対してこう述べた。

 ICWは国民議会の査問機関にこの件を報告し、同機関のイルシャッド・スディロ代表、ガユス・ルンブウン副代表とティウルラン・フタガオル副代表がこれを受領した。

 アデ氏は以下のように述べた。第8委員会の議員数名への手当の疑惑に関して、ICWが持つデータの中には、国民議会第8委員会の運営委員会メンバー15名に対する交通費と報奨金、そして宗教省が2005年にメッカ巡礼を実施した際の総額4億9千542万4千ルピア(約405万円)に係わるものがある。

 それ以外に2006年のサウジ・アラビアでのメッカ巡礼準備視察の際、国民議会第8委員会議員への出張手当疑惑もあり、総額2,845米ドル(約26万円)に達する。

 「2006年のメッカ巡礼実施においては、各巡礼者から6千ルピア(約49円)が徴収され、巡礼者の総数20万5千人とかけ合わせると12億ルピア(約980万円)となる。その資金は国民議会の運営委員や宗教省への奨励金に使われた」

 昨年12月4日にICWは、2005-2006年における信者恒久基金(訳注2)での汚職疑惑と、国民議会議員への汚職事件も報告したとアデ氏は述べた。

 ICWの法律・司法監視部門のエメルソン・ユント調整役は、以下のように述べた。「査問機関が本当に真剣に手続きを進めれば、この事件はすぐに解決されるだろう。我々(ICW)は裏づけとなる非常に強力な(立証)証拠を既に報告している。強い疑惑があるのなら、第8委員会指導部は隠し立てしないことを期待する」

「ICWが査問機関に伝えた証拠の中には、国民議会第8委員会の議員2名の出張報告書、提携業者の領収書、『イニシャルSTとSA』の(サインがある)巡礼者の受領金に関する報告書がある」と同調整役は述べた。

 予算計画および使用の際、閉鎖的かつ独占的な巡礼運営形式に、アデ・イラワン氏は目を向けた。「それこそが巡礼実施において、様々な汚職が横行する理由だ」

 財政開発監督庁は、2002-2005年の間に、少なくとも7千億ルピア(約57億円)の国の損害となる、多くの不正を発見した。

 議員の出張に関して、第8委員会のメンバー数名は、全ての出張費は国家予算に基づいて国民議会の予算で支払われていると発言している。「そのため、実際には提携業者の支援を求める必要はない」と同氏は応じた。

 一方、イルシャッド・スディロ氏は、ICWの報告書の調査を直ちに進めるため、書類一式を事務局に渡す予定だと述べた。「査問機関は国会再開後、この報告書の手続きを進める予定だ。もちろん早急に」
【筆者:マヤ・プスピタ・サリ】


訳注
1) 国民議会第8委員会: 宗教部門を担当する委員会
2) 信者恒久基金: インドネシア政府が、メッカ巡礼主催費などから規定に基づいて徴収する。教育、伝道、健康、経済部門などにおいて、信者のために活用される。


(翻訳者:川名桂子)
(記事ID:so0812193kk)

原題:ICW Laporkan Dugaan Korupsi Ibadah Haji 2005-2006
http://www.mediaindonesia.com/index.php?ar_id=NTE0NzI=



ISEA インドネシア語新聞翻訳 TOPへ

ISEA TOPへ