インドネシア語新聞翻訳
2008年12月5日(金)


国民議会喜捨法案を延期

【ジャカルタ】
 喜捨活動(訳注1)に携わっている人たちは、喜捨法の誕生をまだ辛抱強く待たなければならない。喜捨法案は、国の立法プログラムの中には入っているが、2009年1月の会期にようやく審議されることになるからだ。

 喜捨フォーラム(FOZ)ハミー・ワーユニアント総裁は、この延期を遺憾なことだとし、「残念なことだ、しかし議員たちは審議すべきもっと重要なことがあると思っているのだろう」と12月2日(火)本紙に語った。

 彼は喜捨法案が早急に審議され、可決されることを期待している。この法案が喜捨の運営を秩序あるものにする上で極めて重要だからだ。

 国民議会第8委員会(訳注2)の委員ハイルンニサ氏は、喜捨法案の審議が遅れているのはハラル製品保証法(訳注3)や社会福祉など審議すべきいくつかの法令がまだあるためだと語っている。遅れの他の要因としては、法案の編成に関する草案はすでに出来ているのが、そのコンセプトが今の段階でまだ完全に出来上がっていないことがあげられる。

 「この喜捨法案の最も重要な目的は、喜捨を必要としている人たちに、それがきちんと行き渡るように運営されることだ」とこのゴルカル会派の議員は述べた。

 ハミー総裁は、喜捨法案でインドネシアにおける喜捨運営に対し、監督機関と監督官の設置を定めることの重要さを強調している。「法律上で公式に規定された監督機関および監督官が存在しないことが、現在の喜捨活動の運営上最も大きな問題だ」と同総裁は述べた。

 FOZが提案している点は、喜捨募集組織(LAZ、訳注4)および喜捨徴収機関(BAZ、訳注5)に対する監督機関および監督官としての喜捨管理者機関(BPZ)の設置だ。

 ハミー総裁によると、BPZは銀行業界におけるインドネシア銀行と同じような機能を持つことになる。つまりこれまでは喜捨運営にたいする監督機関や監督がなかったのだ、と同総裁は付け加えた。

 当初、全国喜捨徴収機関(BAZNAS)は、監督機関および監督官の役割を果たし、付託にそぐわない喜捨徴収連盟に対しては、制裁を与えることができると喜捨実務家たちから期待されていた。「しかし彼らは徴収活動しかしなかった」とハミー総裁は述べた。BAZNASは徴収活動をすると同時に、監督機関としての役割を果たすことができなかった。

 このBPZのメンバーは政府、イスラームの指導者および喜捨の実務者で構成される予定だ。一方、喜捨徴収の実行面は、これまでどおりLAZとBAZに任される。今後、両機関はBPZに従うことになり、BAZはLAZと同じように活動することになる。

【c67記者】

【喜捨法案の提案】
* 喜捨徴収組織に対する監督組織および監督官の設置
* 喜捨徴収における政府と民間の徴収組織の位置づけ
* あるべき運営ルールに違反した喜捨組織に対する制裁

訳注)
1) 喜捨: 「定めの喜捨」とも言われイスラーム教徒にとっては宗教的義務。そのため税率に相当するものがあり徴収機関もある。徴収されたお金は困窮者の救済などに使われる。
2) 第8委員会: 宗教、社会、そして女性のエンパワーメントに関わる問題を担当する委員会
3) ハラル製品保証法: ハラルとはイスラーム法によって許容されている行為、摂取物。ハラル製品保証法については2008年7月掲載の翻訳記事 「ハラル製品生産者に対する保証書取得の義務化」と「ハラル製品に関心を持とう」の記事を参照のこと。
4) LAZ: 民間の喜捨徴収機関
5) BAZ: 官製の喜捨徴収機関


(翻訳者:山本肇)
(記事ID:so0812051hy)

原題:DPR Tunda RUU Zakat
http://www.republika.co.id/koran/17/18534.html



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