インドネシア語新聞翻訳
2008年11月27日(木)


ジルバッブ着用許可延期には根拠なし

【ジャカルタ】
 東ジャカルタ市(訳注1)、ジャティヌガラのミトラ・インターナショナル病院(RSMI 訳注2)において女性職員のジルバッブ(訳注3)着用許可が延期されているのは根拠がないと、女性について考える社会フォーラムの議長スリ・ウィディアンティ氏は訴えている。スリ氏はこの延期が差別的な行為の範疇に入るという見解を示し、「基本的にこの延期の根拠には説得力がない」と語っている。

 スリ氏といくつか市民団体の仲間は、この問題に関するフォローアップを行っており、ジルバッブ禁止問題の解決策について話し合うためにジャカルタ市の労働局と面会することを予定している。スリ氏は労働法には労働者はそれぞれの宗教の教えを実践するのを妨げられないという条項があると述べ、さらにジルバッブ着用の禁止は病院の規則に過ぎず、労働局管轄下の病院および企業の規則は労働局の規定に準ずるべきであると強調している。そして労働局側は、彼らが認可した団体労働協約の規定をきちんと読み直すよう訴えている。

 東ジャカルタ市の病院を管轄している同市保健局局長アリアニ氏も同様のことを述べており、同局ではRSMIの内部規定の検証を行う予定だ。アリアニ氏は、医療行為の基準に基づいても、ジルバッブ着用と病院の患者への感染のリスクの間に関係は見られないと語っている。

 東ジャカルタ市長ムルダニ氏は、RSMIでのジルバッブ禁止に関する情報に接して怒りをあらわにしている。「その病院は、どこの国で経営しているつもりだ?ジルバッブを禁止している機関が存在するなど、インドネシアはあまりに寛容すぎる」彼は要職者、つまり労働移住局長、経済・開発・社会担当副市長にこの件を解決するよう命令すると約束した。ムルダニ氏はまたジルバッブ着用の権利を侵された人たちに、労働移住省の地方支部に報告するよう呼びかけている。

 ムルダニ氏はジルバッブ着用の禁止は基本的人権の侵害に該当し、とりわけ病院が制服を統一するためだけのことで、ジルバッブ着用の許可を延期することは理由にならないと付け加えた。

インドネシア・ウラマ評議会(MUI 訳注4)議長のマルフ・アミン氏もジルバッブの着用禁止について発言し、それは時代の進歩にそぐわない時代遅れの考えであると語った。マルフ氏によるとジルバッブ着用の禁止あるいは許可延期は人が宗教の教えを実践するのを妨げることと同じだ。

 マルフ氏は国際的な視野で見てもジルバッブ着用禁止は、公開、民主主義、基本的人権といった時流に合わないと付け加え「インドネシアは多様な人々がいる国なので、他国よりも一層寛容でなければならない」と語った。マルフ氏はジルバッブ着用禁止はきわめて差別的で、MUIは禁止方針が名実ともに廃止されることを要請し、またジルバッブ禁止が今後も続くのであればMUI側は問題にし続けるだろう、と語った。彼はまたジルバッブ禁止は、インドネシアで大多数を占めるイスラーム教徒の心を傷つける行為であると警告した。

 RSMIがこのジルバッブ着用延期の問題の確認を求められたとき、経営陣は全員が病院の認可手続きに取り組んでいるところだと説明しただけだった。「現在われわれは認可手続きに焦点を絞っている。ジルバッブ着用要求の問題にかかりきりになっているわけではない」、RSMIの人材担当マネージャーのワルノ・ヒダヤット氏は11月26日(水)にこう述べた。認可の手続きは計画では27日(木)に終わる。ジルバッブ着用禁止はいくつかの私立病院だけで起きていることではない。ある製薬会社では、ジルバッブ着用禁止が社員募集の際の基本条件になっている。


訳注)
1) 東ジャカルタ市: 通常ジャカルタ市と言われているものは、行政的にはジャカルタ特別州であり、その中に東ジャカルタ市、西ジャカルタ市、北ジャカルタ市、南ジャカルタ市、および中央ジャカルタ市の5市がある。
2) RSMI: オーストラリア系の私立病院
3) ジルバッブ: 女性のイスラーム教徒が、人目に触れてはならないとされる頭髪や首、耳を覆うためにかぶるヴェール
4) インドネシア・ウラマ評議会: 宗教学者が様々な問題に対し、イスラーム法に基づいた見解を示す官製のイスラーム法学組織


(翻訳者:山本肇)
(記事ID:so0811271hy)

原題:Penundaan Izin berjilbab tak Beralasan
http://www.republika.co.id/koran/33/16892.html



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