インドネシア語新聞翻訳
10月30日(木)


ムハマディアの喜捨募集組織:地方の特産品の振興のために資金の還流を

 インドネシアには様々な地方独特の食品がある。しかし今日では、海外からの食品の進出で、それらの食品は隅に追いやられている。ムハマディア(訳注1)の喜捨・扶養資金・寄付(訳注2)募集組織(以下LAZIS)がその状況に注目し、インドネシアの郷土食品、特にシンコン(訳注3)の販売を促進したいと考えている。

 ムハマディアLAZISが、プログラムの一つとして試みているのが、シンコン・ケジュ(訳注4)という食品事業の促進だ。これは、インドネシアの人々が国内の食品を愛する気持ちを、間接的に呼び起こそうとする試みだ。この成長しているプログラムが「青年企業家プログラム」である。

 そのプログラムでは、能力や才能があり、事業運営に強い関心があるが、十分な資金がなく、両親には頼りたくないといった者に、資金が供与される。現在新しいプログラムが行われて3週間経過したが、ムハマディアLAZISのコイルル・ムッタキンLAZIS執行部長は、ビジネスが最大限に発展することを期待している。

 地方産業事業では、「コーヒーとシンコンの屋台」からの造語「キンコン」の名を使った屋台などを構想としている。現在、この事業は、ブカシ、チェンパカ・プティ、ラワマングン、デュレン・サウィット、そしてポンドック・コピなどの5地域で既に実施されている。そのプログラムでは、郡レベルのムハマディアLAZISが参加を募り、そのネットワークから採用された者もいる。「そこから、3-4名が選ばれた」と水曜日(10月29日)にコイルル氏は、本紙に対して述べた。現在そのプログラムの参加者総数は、30-40名に達している。

 ムハマディアLAZISは、そのプログラム以外に、一口100-500万ルピア(約8,800-44,000円)の事業資金の便宜をはかる経済状態改善の取り組みも実施する。また、LAZISには、数名の経済的困窮者で構成される、バイトゥル・マールとよばれる地域社会を基盤とした集団がある。そのプログラムはこの集団を対象とし、郡レベルで調達した資金が、市場の行商人やプチェル(訳注5)の露店商に供与される。今年供与される資金は、25-100万ルピア(約2,200-8,800円)だ。

 経済開発以外に、教育界もムハマディアLAZISの関心事の一つとなっている。今年の最新プログラムの一つが、理科の教員の質の特別向上プログラムだ。理科の教員たちが学士レベルの教育を受けるために、1ヶ月に30万ルピア(約2,640円)の資金が支援される。理科の教員の質を向上させることにより、ムハマディア系の学校や他のイスラーム学校の生徒も、理科部門で誇るべき実績を残すことを、コイルル氏は期待する。「これまで物理学オリンピックで入賞したのは、イスラーム教以外の学校の出身者だった。一方、我々は入賞はできなかった」と同氏は述べた。

 サイエンス・オリンピックで実績を勝ち取れる可能性に目を向け、学生に対する学習指導者としての教員の質の向上は、この2002年に設立されたLAZISの関心事の一つとなった。しかしそのプログラムは、小学校と中学校の教員40名だけに限られている。そのプログラムに参加希望の教員たちは、最寄りのムハマディアLAZISのネットワークで、申し込みが可能だ。

 教員の質の向上プログラム以外に、LAZISは成績優秀で、金銭的に余裕のない学生数名に対して、毎年奨学金も供与している。「成績優秀者上位5名に入るか、成績の平均評価が7.5程度であることが、奨学生としての条件とされる」とコイルル氏は述べた。ジャカルタの学生に1ヶ月75,000ルピア(約660円)、一方ジャカルタ以外の学生には、50,000ルピア(約440円)の奨学金が供与される。LAZISは、毎年平均して300-400名の学生に奨学金を供与している。

 一方、資金集めにおいて、ジャカルタのムハマディアLAZISは25億ルピア(約2,200万円)の資金を集めることに成功した。その総額は、2007年の21億ルピア(約1,848万円)と比べて増加した。個人的な資金供与以外に、LAZISはポンドック・コピのイスラーム病院、チェンパカ・プティのイスラーム病院、タマン・プリンの母子病院、そしてスカプラ病院などのジャカルタのいくつかの病院とも提携し、資金を供与している。


訳注
1) ムハマディア: 改革派イスラーム団体
2) 喜捨・扶養資金・寄付: ここでは、いずれもイスラームに基づくもの。それぞれの頭文字をとって ZIS という。喜捨(ザカート)は、宗教的義務の一つで、財産に対して支払いの率が定められた税。扶養資金(インファーク)は、扶養のために出される資金。寄付(サダカ)は、他者に対し自発的に行う金品の施しや行為
3) シンコン: キャッサバ芋
4) シンコン・ケジュ: シンコン芋を蒸して塩などで味付けをし、油で揚げ、チーズをのせたもの
5) プチェル: 温野菜にピーナツのタレをかけた料理


(翻訳者:川名桂子)
(記事ID:so0810301kk)

原題:LAZIS Muhammadiyah: Salurkan Dana untuk Kembangkan Produk Lokal
http://www.republika.co.id/koran/17/10812.html



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