インドネシア語新聞翻訳
2008年10月23日(木)


インドネシア・ウラマ評議会、豚脂含有の薬を発見

【メダン】
 北スマトラ州メダンの薬局で、自由に販売されている薬やサプリメントに豚の脂が含まれている疑いがある。北スマトラ州のインドネシア・ウラマ評議会(訳注1、以下MUI)はその地域で売られている薬を買うときは、よく注意するよう住民に呼びかけている。

 「薬を買う前によく調べるように」メダンのMUI議長ムハマド・ハッタ氏は、10月22日(水)メダンで語った。

 豚の脂の含有はある薬品のカプセルの皮膜に見つかったとハッタ氏は説明した。残念なことに、ハッタ氏はイスラーム教徒に禁じられているその成分の含有が指摘されているものが、どの種の薬品であるか詳細に述べることは避けた。

 確かなことは、その豚の脂が含有されていることがメダンMUIの食品・薬品・化粧品審査委員会(以下LPPOM)の調査の結果、分かったということだ。しかし、MUIとしてはこのハラム薬品(訳注2)が流通していることに対して、まだ多くの策を講じることが出来ない、なぜならハラル性の証明書取得を義務づける法案(訳注3)が、まだ国会で承認されていないからだ、とハッタ氏は述べた。

 「しかしながら、このハラム薬品の発見については、北スマトラ州の薬品・食品監視組織(以下BPOM)にすでに委ねた」と彼は語った。彼はイスラーム教徒が消費することを禁じられている薬品を人々が避けることができるように、この発見が他の関係当局でフォローアップされることを期待している。

 メダンMUI・LPPOMの調査官アズナン・レロ教授は、この豚脂の含有は薬品の中だけから見つかったのではないと付け加えた。その地域で流通しているいくつかの食品および飲料にも、この禁じられている原料が含まれている可能性がある。

 「食品と飲料を目を光らせてよく見て欲しい。なぜなら豚脂の含有は化粧品にすら見つかっているからだ」と彼は述べた。

 アブドゥラー・シャー北スマトラ州MUI議長は、人々が薬を買うときによく注意するよう要請している。消費者はより安全を期するために、医者あるいは薬剤師にまず豚脂の含有について尋ねたほうがよい。

 リリー・S・スリスティヨワティ厚生省広報部長は、BPOMは昨夜までこの薬品の豚脂発見問題についてMUIから報告を受け取っていなかったことを認めた。「実態を調査すべきでBPOMを巻き込んでの再チェックが必要だ」

 カプセルの皮膜を構成する原料についての長年にわたる賛否の議論に関し、バンドゥン工科大学薬学部の調査官であるヘニ・ラフマワティ氏は、カプセルはゼラチンを主成分としていると説明した。天然のゼラチンは魚、牛、豚など様々なものからとられる。

 豚のゼラチンを原料とするカプセルの皮膜は、たしかに牛や魚など他の材料からとられるものよりも品質が良い。そして輸入薬品の大部分はハラル、ハラムの基準について考慮していない。

 「その解決策として、いま合成ゼラチンを原料とするカプセルの皮膜がすでに実際に開発されている」と彼女は語った。たとえ輸入薬品を他のものに置き換えることができないとしても、国内の製薬会社がカプセルの皮膜を開いて、中身を製薬上の基準と宗教上の決まりに合致した材料のものに詰め直すことを彼は提案している。

 ヘニ氏はまた登録機関に対し、薬品、特に構成材料を通常明記しない輸入品を注意深くチェックするよう呼びかけている。


訳注
1) インドネシア・ウラマ評議会: 宗教学者が様々な問題に対し、イスラーム法に基づいた見解を示す官製の法学組織
2) ハラム: イスラーム法によって禁忌とされている行為、摂取物。こうした成分が含まれている薬がハラム薬品。一方、イスラーム法によって許容されている行為、摂取物はハラルである。
3) 法案について詳しくは2008年7月掲載のso0807041hyの翻訳記事を参照。ハラム薬品については2007年4月掲載の関連記事li0704271hyを参照。


(翻訳者:山本肇)
(記事ID:so0810231hy)

原題:MUI Temukan Obat Mengandung Lemak Babi
http://www.republika.co.id/launcher/view/mid/22/kat/14/news_id/9430



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