インドネシア語新聞翻訳
2008年10月10日(金)


ハラル・ビハラル

 ハラル・ビハラルはアラビア語のハラル、ビ、そしてハラルの3語からなる言葉だ。ハラルという語がインドネシア語で「してよい」を意味するとすれば、ハラル・ビハラルは文字通りには「してよいことで、してよいこと」という意味になる。ハラル・ビハラルという言葉はアラビア語の語彙の中にはなく、神の使徒ムハマンド、教友たち(訳注1)およびサラフ(訳注2)の教えの中にもない。

 イスラーム百科事典によると、ハラル・ビハラルという用語と行事はインドネシアが発祥だが、誰が生みの親かは不詳だ。ハラル・ビハラルは1940年代の終わり頃に儀式として催されはじめ1950年以降に広まった。

 ハラル・ビハラルの実態は懇親と変わりない。違うのはハラル・ビハラルではそのために特別に行われる催しの中で、互いに許しを乞い、相手を許し、握手を交わす義務があることだ。この解釈はインドネシア語大辞典によるもので、そこではハラル・ビハラルを「ラマダーンの宗教義務(訳注3)が終わった後に、相手の許しを乞い、相手を許すことで、通常は会館、ホールなどで同じグループに属す人たちの間で行われる」ものと定義している。

 今ではハラル・ビハラルはルバラン(訳注4)後、当然行われる宗教的儀礼となっている。この行事は民間および政府の機関・組織から隣近所同志の集まりにいたるまで行われている。首都では、ルバラン後の出社初日の行事が役員と社員、上司と部下の間のハラル・ビハラルになっている。首都にある地方の社会組織もハラル・ビハラルをイスラーム暦10月に欠かせない日程としている。

 ハラル・ビハラルが懇親のための活動として行われた場合、当然多くの利益や功徳が得られる。ムハマンドは懇親によってそれを実行する者は、生計手段を得るのが容易になり寿命が延びると明言している。ハラル・ビハラルの発起人、主催者、そしてスポンサーは通常上層階級、エリート層、団体や機関の指導者などで、部下や支持者たちに対して普段、多くの過ちを犯していると感じている人たちだ。ハラル・ビハラルは和解・調停の場でもあり、そのため上司と部下、エリートと一般人の関係の調和が常に配慮され、さらにその組織内での一体感が生み出されることが期待されている。このことは一定の範囲内ではたしかにプラス面がある、なぜなら調和を守ることは下層の人々、広く一般の人々に良い影響をもたらす可能性があるからだ。


訳注
1) 教友: 預言者ムハンマドに直接接した人々。ハディース(ムハンマドの言行録)の成立にも役割を果たした。
2) サラフ: 預言者ムハンマドに直接接した教友で構成される第1世代、教友からムハンマドについて聞いた人々で構成される第2世代、それに続く第3世代までの人々を示す。
3) イスラーム暦9月に断食を行うことを指している。
4) ルバラン: イスラーム暦10月1日に行われる断食月明けの大祭

(翻訳者:山本肇)
(記事ID:so0810101hy)

原題:Halal bihalal
http://www.republika.co.id/launcher/view/mid/22/kat/52/news_id/6829



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