インドネシア語新聞翻訳
2008年10月4日(土)


大統領官邸に大勢集まった障害のある人々

 水曜日(10月1日)にジャカルタの大統領官邸の裏手のベランダに、視覚障害者と身体障害者たちが、長い列を作って並んでいた。彼らは、スシロ・バンバン・ユドヨノ大統領、アニ夫人、アグス・ハリムルティ氏(長男)そしてエディ・バスコロ氏(次男)と握手をするために、大統領官邸の客室に入る順番を待っていた。

 国の指導者及びその家族と、国民との親睦を兼ねたハラルビハラル(訳注1)のオープン・ハウスは、水曜日夕方、西部インドネシア時間(訳注2)15時から17時30分に開催された。国民と会う前に、大統領はイスティクラル・モスク(訳注3)でイドゥル・フィトリ(訳注4)の礼拝をし、家族や高官、ユスフ・カラ副大統領、グス・ドゥル(ワヒド元大統領)など元高官とのハラルビハラルを行った。

 西部インドネシア時間12時から国民は次々と国の事務局の庭を訪れ、そこで黄色や茶色、水色の整理券を受け取った。彼らの中には市外、アチェやマナドなどの他の州から来ている人や、身体・視覚障害者もいた。

 来訪者には、昨年同じような行事に参加したことがある人もいた。しかし、ジャカルタのプロマス出身の視覚障害者のカディジャー夫人のように、今年初めて参加する人も少なくなかった。「ティピ(編者注:テレビ)で知りました。各新聞でも公表してたそうですよ」と彼女はうれしそうに笑いながら言った。

 バンテン州タンゲラン県、ポンドック・アレン出身の視覚障害者夫婦、ルディンさんとワティさんは、2人の子供と共に官邸に訪れた。「私たち障害者(少数派)の状況をお伝えしたいのです。今まで多くの大統領がいらっしゃったなかで、官邸で初めて大統領とお会いすることができました」とマッサージ師として働くルディンさんは述べた。

 並んでいた国民も客室に入るように案内された。挨拶を交わすと、大統領とその家族は彼らに話しかけた。「お元気ですか。断食明けおめでとうございます。どうぞお気をつけて」と大統領は握手を交わした人々に向かって言った。中には窮状を訴え、大統領に手紙を手渡す人もいた。「分かりました。後で手紙を読みますね」と大統領は言った。

 挨拶を交わした人たち、特に視覚障害者は、官邸の敷地内の西棟にある建物へ案内され、データを記録後、お金の入った封筒を受け取った。DJ・ナクロウィ広報局長によれば、中身は25-50万ルピア(約2,500-5,000円)だという。「大きい問題を抱え、大統領に窮状を訴えた人は特別に100万ルピア(約1万円)をもらった」

 ナクロウィ氏は次のように述べた。今年の障害を持つ人の訪問数は昨年より多く、2倍に達すると予測される。西部インドネシア時間15時30分までに来た4千人の来訪者のうち、450人が障害者だった。「前年のおよそ2倍だ」

 17時45分までに、官邸の庭で待っていた人はまだ2千人いた。「お会いしてご挨拶をしたいのですが、もう少しでイスラーム教徒には、日没の礼拝の時間になります。続けることができないのは非常に残念です。ただ、視覚障害を含む障害者の方は、このままここにいていただきたいのです。後でまたお話をしますので」と大統領が発言すると「フー」という声がおこった。

 中には怒り出す人もおり、「遠くから来たのに、握手すら出来ないなんて」とマナド出身の主婦は怒って言った。

 大統領は、官邸以外にチケアスでもオープン・ハウスを行った。挨拶後、客人たちにはロントン・オポール(訳注5)、タフ・チャンプル(訳注6)、ソト・アヤム(訳注7)、エス・チンカウ(訳注8)、ソーダ飲料などの様々な食べ物や飲み物が出された。駐マレーシア・インドネシア大使のダ・イ・バーティアル氏など数人の高官も出席していたようだ。

 水曜日(10月1日)に10時30分から13時まで、中央ジャカルタ市メンテン地区、ディポネゴロ通りの官邸で、ユスフ・カラ副大統領も「オープン・ハウス」を開催した。そこには数人の大臣が見られた。ジュスマン・シャフィイ・ジャマル運輸大臣、マリ・エルカ・パンゲツ商業大臣、パスカー・スゼタ国家開発企画庁長官、ジョコ・キルマント公共事業大臣、そしてアブリザル・バクリー社会福祉問題調整大臣もいた。

 ハメンクブウォノ10世ジョクジャカルタ特別州知事、ファウジ・ボウォジャカルタ首都特別州知事、そして他の高官や元高官たちもオープン・ハウスを行った。


訳注1) ハラルビハラル: 断食月明けに、目上の者や親戚の家などを訪れ、互いに日常の失礼を詫びたり許しを請うこと。飲食を伴い、親睦の場としての意味も持つ。
訳注2) 西部インドネシア時間: インドネシア時間は、西部インドネシア時間(日本時間−2時間)、中部インドネシア時間(日本時間−1時間)、東部インドネシア時間(日本時間と同じ)に分かれいる。首都ジャカルタは、このうち西部インドネシア時間に属す。
訳注3) イスティクラル・モスク: ジャカルタにある東洋一大きいといわれるモスク
訳注4) イドゥル・フィトリ: 断食明けの日、すなわちイスラーム暦10月1日
訳注5) ロントン・オポール: ロントンは米をバナナの皮に包んで蒸した、ちまきに似た料理。オポールは香辛料のきいたココナツミルクで、鶏肉を煮込んだ料理。ロントン・オポールとはこれらの2つ料理を併せたもの。
訳注6) タフ・チャンプル: 豆腐、牛肉、野菜などが入ったスープ麺
訳注7) ソト・アヤム: 鶏肉が入り、スパイスがきいたスープ
訳注8) エス・チンカウ: 仙草(薬草の一種)を使った氷のデザート


(翻訳者:川名桂子)
(記事ID:so0810041kk)

原題:Penyandang Cacat Berjubel di Istana (4 Oktober 2008) panjang juga
http://www.republika.co.id/launcher/view/mid/22/kat/14/news_id/5886



ISEA インドネシア語新聞翻訳 TOPへ

ISEA TOPへ