インドネシア語新聞翻訳
2008年9月30日(火)


全イスラーム教徒は同じ日にルバランの大祭を迎える:イドゥル・フィトリの日を確定する委員会を常設

【ジャカルタ】
 イドゥル・フィトリ(訳注1)の大祭が2008年10月1日に決まった。イツバット会議(訳注2)において、イスラーム諸団体の間で意見の相違が生じることはなかった。

 イスラーム暦10月1日の確定に関する政府決定は、9月29日付け宗教大臣決定2008年第28号に盛り込まれた。「お互いに相手を尊重することを希望する」とマフトゥー・バシュニ宗教大臣は、9月29日(月)夜、宗教省でイツバット会議を主催した際に語った。

 会議はインドネシア6地点、ナングロ・アチェ・ダルサラーム州、バンドゥンのボスチャ天文台、スマランの大モスク、東ジャワのタンジュン・コドック、マカッサル、そしてクパンから新月の観察に関する報告を直接受けた後に行われた。会議にはムハマド・ヌー情報通信大臣、インドネシア・ウラマ評議会(訳注3)マルフ・アミン会長、各イスラーム組織からの代表、それにイスラーム諸国の大使と代表が出席した。

 会議では各イスラーム組織からラマダーン(訳注4)の初日とイドゥル・フィトリの日の確定が合意できるような共通の判断基準を設けてほしいとの要請が出された。そうすれば、将来意見の相違が生じなくなる。宗教大臣はそれに賛成した。

 「2011年までに常設の委員会を発足させ、いつも問題になる意見の相違が起きないように共通のルールを作りたい」とマフトゥー大臣は語った。ヒサブ・ルクヤト部門長(訳注5)であるムフタル・イルヤス氏は25ヶ所における監視員から(9月29日の日没時に:訳者注)新月を見なかったとの報告があったと語った。この25ヶ所はバンダ・アチェからジャヤプラまで(訳注6)をカバーしている。

 宗教省のイスラーム担当役員でもあるムフタル・イルヤス氏は、イジュティマッ(訳注7)は9月29日(月)つまりイスラーム暦9月29日15時12分(インドネシア西部標準時間:訳注8)だったと語った。「しかし、東インドネシアの一部では、太陽が沈むとき新月は地平線下にあった」

 そのため、イスラーム暦9月は30日あることになり、イスラーム暦の10月1日は現行暦の10月1日と同じになる。ナフダトゥル・ウラマ(訳注9)の天文学委員会議長のガザリ・マスルーリ氏は、今回はイスラーム暦10月1日の確定に関してナフダトゥル・ウラマとムハマディア(訳注10)の間で意見が一致したと語った。「ヒサブに基づいているナフダトゥル・ウラマの年鑑も同じ日(現行暦10月1日:編集者注)に定めている」とガザリ氏は語った。

 ムハマディアの中央指導部は、昨日ジョグジャカルタで、イスラーム暦10月1日を現行暦の10月1日に定めた。この決定はムハマディア中央指導部のイスラーム法研究委員会が行ったヒサブ・ハキキ・ウジュドゥル・ヒラル(訳注11)の方法で行われた。

 ヒサブ・ハキキの計算を通じて、月と太陽が同じ方向に来るのは9月29日(月)のおよそ15時14分になる。太陽は17時36分に沈み、月は17時32分に沈む。月のほうが太陽より早く沈む。太陽が沈むときの月の高さはマイナス0度51分57秒だ。

 「ムハマディアの見解では、そのときはまだイスラーム暦10月1日になっていない。イスラーム暦10月1日は現行暦の9月30日(火)の太陽が沈む時に始まる。したがってイドゥル・フィトリの大祭は10月1日(水)になる」とイスラーム法研究委員会の副代表オマン・ファトゥローマン氏は語った。それ以前にイスラーム統一(訳注12)もイドゥル・フィトゥリを10月1日に定めていた。ムハマド・ヌー情報通信大臣は科学技術の助けを借りた新月観測でも新月を見なかったと語った。(訳注13)

 一方、宗教大臣はイスティクラル・モスク(訳注14)で大祭に行われる祈りの説教師になった。副大統領の特別補佐官アズユマルディ・アズラ氏はスンダ・クラパのモスクで、ムハマディア議長のディン・シャムスディン氏はブン・カルノ競技場で、憲法裁判所判事ジムリー・アシディキー氏はアル・アズハル・モスクでそれぞれ説教師を務めた。


訳注1) イドゥル・フィトリ: イスラーム暦10月1日で断食明けの祭日
訳注2) イツバット会議: 断食が始まるイスラーム暦9月1日および断食明けの10月1日を決めるための法定会議。宗教省の主宰で主要イスラーム組織、後述のヒサブとルクヤトの委員などが出席する。
訳注3) インドネシア・ウラマ評議会: 宗教学者がさまざまな問題に対して、イスラーム法に基づいた見解を示す官製のイスラーム法学組織
訳注4) ラマダーン: イスラーム暦の9月。断食月
訳注5) ヒサブとルクヤト: ヒサブは計算によって新月の日を決めること、ルクヤトは視認によって新月の日を決めること。通常この両者を組み合わせて新月の日を決める。
訳注6) バンダアチェからジャヤプラまで: それぞれインドネシアの最西と最東の都市
訳注7) イジュティマッ: イスラーム暦のある月の終わりと次の月の始まり。このとき月と太陽は同じ方向に位置する
訳注8) 西部インドネシア時間: インドネシア時間は、西部インドネシア時間(日本時間−2時間)、中部インドネシア時間(日本時間−1時間)、東部インドネシア時間(日本時間と同じ)に分かれいる。首都ジャカルタは、このうち西部インドネシア時間に属す。
訳注9) ナフダトゥル・ウラマ: 伝統主義的イスラーム組織
訳注10) ムハマディア: 改革派イスラーム団体
訳注11) ヒサブ・ハキキ・ウジュドゥル・ヒラル: 新月の頃は月の出と月の入りは日の出日の入りとほぼ同時刻になるが、新月が太陽より後に沈むことを基本にしてイスラーム月の変わりを決定する法と思われる。
訳注12) イスラーム統一: 1923年にインドネシア(バンドン)で設立された近代派イスラーム組織。教育や宗教に関する活動を行うことを主要な目的として作られた。
訳注13) 「9月29日の日没時に新月を見なかった」ということだと思われる。
訳注14) イスティクラル・モスク: ジャカルタにある東洋一大きいといわれるモスク

(翻訳者:山本肇)
(記事ID:so0809301hy)

原題:Umat Islam Kompak Lebaran Bersama Akan dibentuk panitia permanen penetuan Idul Fitri.
http://www.republika.co.id/launcher/view/mid/22/kat/14/news_id/5629



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