インドネシア語新聞翻訳
2008年9月21日(日)


寄付を受け取る人のもとへ赴く

 ムハンマド・リフキさんは、友人のアグンさんと家でプレイ・ステーションをして時間をつぶしていた。しかし、とても退屈な気がしてついにゲームを中止し、ラマダーン(訳注1)の慈善活動に参加した。「最初はちょっとやってみたかっただけです。リフキのお兄さんは、ほとんど毎年このような事をしていますし」とアグンさんは説明した。

 突然のことだったので、このために組織は作らなかったが、彼は同じ学校の友人インドゥラさんとアベルさんに連絡し、打合せをした。彼らはできるだけお金を集めた。アベルさんは両親にまで頼んでお金をさらに集め、リフキさんは1週間分のお小遣いを差し出した。食べ物を買い、それをきれいに包むために、彼らはその集めたお金を利用した。

 「包装したのは私たちではありません。プレゼントをラッピングするところで、働いている友人がいましたので」とアグンさんは述べた。火曜日(9月16日)にバンドゥンのジュアンダ通りで、彼らはそのプレゼントを配った。「兄の友人は、この地域の子供たちの仲間なのです」とリフキさんは述べた。

 バンドゥン学生会(PMB)のメンバーのアンワル・サヌシさんとその友人たちも、土曜日(9月20日)にジュアンダ通りで、断食明け用の食事(訳注2)の包みを配った。「チカパヤン交差点付近の道路生活者たちに、断食明け用の食事を約100包み配った」とアンワル・サヌシさんは、電子メールの中で述べた。路上生活をしている子供たちの盛り上がりぶりを見て、リフキさんと友人たちは「うれしい」と心境を述べ、来年のラマダーンにも同様の活動をするために、沢山の人々を動員することを約束した。「私たちは、バンドゥン市の様々な場所で、このような慈善活動をすることを考えています」とリフキさんは述べた。

 バンドゥン県のババカン・チパライ郡の、アル・イスラー・モスク青年会は、ラマダーン月に善行を積むために、貧窮者や孤児を支援することを選択した。「少し大変なのは、喜捨受領者のデータ化です。この支援が適切な対象の人に、平等に供給されてほしいからです」アル・イスラー・モスクのブディ・ソディキン青年委員長(25)は述べた。データに記された困窮者は104人いる。データ化チームは、住民の経済状態に注目して、モスク付近の喜捨受領者のデータを集めている。必要ならば、名前から衣服の数までデータ化するつもりだ。寄付されたものの中にはお金だけではなく、衣服もあるからだ。

 別の地域の貧窮者や孤児のデータ化をするため、彼らはいつもその地域のモスク青年会か、彼らの知り合いと共同で作業をする。それぞれの村から貧窮者2人と孤児2人を見つける。「彼らが今まで支援を受けたかどうかではなく、彼らの経済状態がどうなのかに着目します。そのため、実際にいつも支援を受けている子どもたちが、いる可能性もあります」とブディ委員長は述べた

 資金調達のために、彼らはその地域にあるいくつかの工場に提案を持ち込んだり、慈善活動のために住民の家も訪れた。9月26日に予定されている合同での断食明けの食事の際も、募金活動は行われる予定だ。ジャカルタのインドネシア学生学習サークル(以下Lisuma)は、今年のラマダーン月慈善活動として、路上で断食前の食事(訳注3)を配る活動を行い、日曜日(9月21日)の未明に彼らはジャカルタのあちこちの路上で、断食前の食事を配った。

 約150人が車を利用して、断食前の食事を配った。「経済的に豊かでない人々にも食べ物、そして幸せを分けてあげたいのです。やっとこれが実現できたのです」とLisumaのファクリ・マハディさんは述べた。それ以前の2008年5月に、Lisumaは「live in desa(desaは村を意味する)」プログラムを開催する機会があった。彼らはボゴール県で村づくりプログラムを作成し、村に住んで社会活動を行い、村民に山羊や幼魚を分け与えた。この方法で、彼らは村民の心をつかみたかったのだ。

 ジャカルタに住むジャンビ(スマトラ中部)出身の学生たちも何もしないではいなかった。ジャカルタ・ラヤ・ジャンビ学生会のメンバーである彼らは、日曜日(9月14日)に中央ジャカルタのクラマット・センティオン通りでセティア・プトゥラ孤児院の子供たちと、断食明けの食事を行った。合同での断食明けの食事に加え、子供たちは礼拝道具一式のプレゼントも受け取った。「異郷から来ていても、同じイスラーム教徒として分かち合いたいのです」と合同での断食明け委員会のカイルル・アーヤディさんは述べた。

 この活動を行うために、彼らはジャカルタに住んでいるジャンビの人々へ企画案を送った。彼らはジャンビ家族協議委員会(BMKJ)のメンバーだ。「この活動は毎年ラマダーンにはお馴染みとなっているものなので、BMKJは慈善活動には慣れています」とカイルルさんは述べた。マラン・ムハマディア大学(以下UMM)は、さらに周到な準備をし、ラマダーンの期間に社会奉仕を行った。これまでUMMはサウジアラビア王国と協力してきた。毎年ラマダーンの時期に、サウジアラビアはナツメヤシ(訳注4)10トンとイスラーム関係の書物数1,000冊を、UMMへ送ってくる。

 UMMは学生を巻き込み、様々な社会組織や教育機関に生活必需品9品目(訳注5)、書物そしてナツメヤシを配給した。「このラマダーン月にマラン県ダウ地域で、アイシヤー(訳注6)支部と協力して配給作業を行いました」UMMのムハジル・エフェンディ学長は説明した。社会組織などに寄付を送る方法で慈善活動を行うと、直接寄付を行った場合に比べて、取り合いなどの望ましくない事態も避けることができる。 


訳注1) ラマダーン: イスラーム暦9月、断食月。この一ヶ月間、日の出から日没までの間、イスラーム教徒は食物・飲物を一切口にしない。病人、高齢者、子ども、生理中の女性、旅行者など断食を免除される人もいるが、規定に従って断食を行わなかった日数分、別の期間に断食を行う場合もある。
訳注2) 断食明けの食事: イスラーム教徒が断食をする際、断食を終える時間である日没後にとる食事。インドネシア語では、ブカ・プアサと呼ばれる。
訳注3) 断食前の食事: 断食を行なう際、夜明け前までにとる食事。真夜中から暁(夜が白む頃)の間にとられる。インドネシア語では、サフールと呼ばれる。
訳注4) ナツメヤシ: 聖典コーランや預言者の言行録ハディースの中で、特別な位置づけをされている植物。特に断食中には、干したナツメヤシがよく食べられる。
訳注5) 生活必需品9品目: 一般的に、米、砂糖、食用油とマーガリン、灯油、食塩、牛肉と鶏肉、鶏卵、ミルク、トウモロコシがこれに当たる。
訳注6) アイシヤー: 改革派イスラーム団体ムハマディアの女性組織


(翻訳者:川名桂子)
(記事ID:so0809212kk)

原題:Mendatangi Para Penerima (21 Sep 2008)
http://www.republika.co.id/launcher/view/mid/22/kat/14/news_id/4213



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