インドネシア語新聞翻訳
2008年8月31日(日)


イスラーム暦の不一致が縮小する

2008年のラマダーンの開始は9月1日(月)に

【バンドン】
 ラマダーン(注1)の開始とイドゥル・フィトリ(注2)の日を決める上での不一致が解決されるようだ。と言うのは、科学、イスラーム法など様々な分野の専門家からなる15人の学者が、イスラーム暦統一委員会(KPPI)を設立したからだ。

 「KPPI設立の背景には、イスラーム暦の統一を望んでいる組織・機関が実際に多かったことがある」とKPPIの議長ムジ・ラハルト氏は8月30日(土)バンドンで本紙に語った。

 彼はさらに、これまでイスラーム団体の間で、ラマダーンの開始とイドゥル・フィトリの日の決定にはいつも不一致があり、人々を困惑させてきた。そのためKPPIはこのイスラーム暦の決定システムの統一を図ろうとしているのだ、と説明した。

 ムジ・ラハルト氏によると、KPPIはまとめ役あるいは仲介役として動くだけで、それぞれの団体の問題に干渉しようとは思わない。KPPIがいずれの団体からも独立して設立され、独立した人々で構成されている理由もそこにある。KPPIが出すいかなる決定もイスラーム教徒全体の作業の結果で、その決定は、団体や政府あるいは機関の名前において行われることはない。

 KPPI設立の目的は、インドネシアあるいは世界でひとつのイスラーム暦を作ることだとムジ・ラハルト氏は続けた。この暦はラマダーンとルバラン(注3)の日を確定するために使われるだけでなく、取引や契約上の必要性においても利用できる。

 彼によると、この作業は簡単ではない。すべての団体・機関がお互いに助け合わなければならない。それぞれが勝手に動けばこの試みは行き詰まるばかりだからだ。他国でそうであったように、あるいは少し前にムハマディヤ(注4)が行った試みと同様に。「やがてすべての団体が席を同じくすることになるだろう。そこでは誰が勝つわけでも、誰が負けるわけでもない」と彼は述べた。

 彼は、KPPIが出す結論と記録の全ては、イスラーム教徒の考えを結集したもので、個人や団体の考えではないとし、全てのイスラーム団体が一体になることによって、しばしば起きていた不一致が縮小することを期待している。重要なのはイスラーム教徒が一体となって暦を強固な基盤を持ったものにしようと強く望む気持ちだ。

 「これまでのところイスラーム諸団体と政府は、KPPIの設立にたいして好意的な反応を示している」と彼は語った。「少し前の話し合いの中でのようにだ。そのとき諸団体と宗教省の代表がKPPIが催した行事に出席したが、彼らは自分の意見を強硬に打ち出すことなく話し合いを行った」

 実際にいくつかのイスラーム団体がイスラーム暦のシステムを革新するための研究を行っているとムジ・ラハルト氏は語った。しかしながら、彼らはしばしばそれぞれの団体の大会の決定に妨げられている。「少なくともこの研究で、社会団体は価値あることを探求しようとする精神を同じくしている」と語った。

 イスラーム暦のシステムを統一するためには長い期間が必要であると、彼は続けた。彼はいつこのカレンダーが適用されることになるのかについて、あえて目標を設定するようなことはしていない。「KPPIの目標は、この暦の統一がなされることによってイスラーム教徒が一体となることだ」

 今年の断食の始まり、すなわちイスラーム暦9月1日は、ムジ・ラハルト氏によると、2008年9月1日になる。インドネシアの全てのイスラーム団体がそれに同意している。もっとも国際社会では、まだ新月を見ていないのでラマダーンを9月2日にしている。「今年のルバランも10月1日ということで同意がなされている。これは全ての団体が断食を30日間行うことで合意していることを意味する」と語った。

 ムジ・ラハルト氏によると、今年一致したからといって来年以降もそうであるとは限らない。そのため、彼は全ての関係者がイスラーム暦の統一に関して同じ信念をもつことを希望している。

ムハマディア
 ムハマディアの中央指導部は今年のラマダーン月の断食の始まりは9月1日(月)と決めた。イスラーム教徒はこのラマダーンの機会に信仰上の義務をきちんと守り完璧なイスラーム教徒になるようにと呼びかけた。

 「ムハマディアはヒサブ(注5)に基づいてラマダーン開始の日を決めた。明日(日曜日)の月の位置が5度以上とすでに非常に高くなっているからだ。それゆえ、ラマダーンの新月が明日の夜すでに現れると確信されるので、われわれはタラウェ礼拝(注6)と断食を月曜日に始めることにした。」とムハマディアのディン・シャムスディン議長は8月30日(土)夜ジャカルタのムハマディア本部で行われたナシアトゥル・アイシャー(注7)の大会の合間に述べた。


注1) ラマダーン: イスラーム暦の9月 断食月
注2) イドゥル・フィトリ: 断食明けの大祭、イスラーム暦10月1日
注3) ルバラン: イスラーム暦10月1日に行われる断食明けの大祭
注4) ムハマディア: 改革派イスラーム団体
注5) ヒサブ: 計算の意味。理論的計算によって新月の日を決める
注6) タラウェ礼拝: ラマダーン中のイシャー礼拝(夜の礼拝)後に行われる自発的礼拝
注7) ナシアトゥル・アイシャー: ムハマディアの婦人部会

断食月の決定については、2007年9月掲載の翻訳記事(ID:po0709081hy)も参照のこと

(翻訳者:山本肇)
(記事ID:so0808311hy)

原題:‘Persempit Perbedaan Penenggalan Islam
http://www.republika.co.id/launcher/view/mid/22/kat/14/news_id/6518



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